OpenAjax Alliance、Ajaxライブラリ間の相互運用をサポートするJavaScript仕様を公開へ
同プロジェクトでは、同じWebページで複数のAjaxライブラリを使用する際に生じる相互運用性の問題を解決するためのJavaScript仕様の開発が行われる。同仕様により、複数のAjaxランタイム・ライブラリが同じページ上に共存することが可能になるという。最初の仕様である「OpenAjax Hub Version 1.0」は年内に完成する予定で、来年初頭にはAjaxツールキットに統合されるもようだ。
米IBM先進技術グループのWeb設計者で、OpenAjax Allianceのディレクター代行を務めるジョン・フェライオロ氏は、「現在のAjaxライブラリはブラウザとJavaScript環境を完全に占有している。この環境には他のライブラリが存在しないため、HTMLマークアップを監視するJavaScriptオブジェクトやツールキットの衝突が発生し、ドラッグ&ドロップ・イベントなどの機能を統合することもできない。したがって、いかなる作業も実行できて、作業結果に影響を受けることのない環境を用意する必要がある」と語る。
米ザップシンクの上級アナリスト、ジェーソン・ブルームバーグ氏は、「OpenAjax Allianceは、OpenAjax Hubの開発を通して最優先課題の解決に取り組んでいる」と述べている。
同氏によると、一般的に、ベンダー各社のAjaxインプリメンテーションには相互運用性がないため、OpenAjax Allianceには、この問題を解決してほしいというユーザーの声が多数寄せられているという。基本的に、個々のAjaxウィジェットがXMLとJavaScript(いずれもオープン標準)を利用している場合であっても、あるツールキットに搭載されているウィジェットが他のツールキットのウィジェットと連携できるわけではない。OpenAjax Allianceの最大の目標は、この相互運用性の問題を解決する道筋を明確化することにある。
ブルームバーグ氏は、「Ajaxウィジェットが、他のウィジェットやツールキット、プラットフォームと連携できるようになれば、Ajaxは大きな成功を収めることができるはずだ」と指摘する。
OpenAjax Hubは、「Dojo」や「script.aculo.us」などのツールキットのほか、「TIBCO General Interface」などのAjaxフレームワーク、さらに、バックベース、ジャックビー、ネクサウェブなどが提供する製品に組み込まれる見通しであるという。フェライオロ氏は、「今のところOpenAjax Hubの採用を表明しているベンダーはないが、ここで名前を挙げたベンダーは、いずれもOpenAjax Allianceで積極的に活動している」と語った。
合わせて、OpenAjax Allianceは、今年2月の発足以来、参加企業がほぼ倍増したことも明らかにした。新規加入メンバーは、Sun Microsystemsを含む約25社。既存メンバーには、Adobe Systems、BEA、Borland、Eclipse Foundation、Google、IBM、Intel、Mozilla Corporation、Novell、Opera、Oracle、Red Hat、SAPなどが名を連ねている。
ちなみに、OpenAjax Allianceの参加企業の中にMicrosoftの名前はない。フェライオロ氏は、「われわれはMicrosoftにも参加を呼びかけてきた。同社が加わってくれるとありがたいのだが」と語っている。
同氏は、「あるベンダーのAjax技術を他のベンダーの技術と一緒に使えるようにするといった形で相互運用を実現することがわれわれの目標。Microsoftも同じ目標を掲げるベンダーの1社であり、Ajaxコミュニティにとっても重要なベンダーだ。同社の製品が他社の製品と相互運用できるようになれば、だれもが大きな利益を得られるようになるはずだ」と語る。なお、同氏は、Microsoft製品が相互運用できないと発表したことはないと付け加えている。
Microsoftは、Atlas技術を通じてAjaxを支援しているものの、OpenAjax Allianceに加わる予定はないとしている。この件について、Microsoftは、「OpenAjax Allianceに参加するという確固たる計画はないが、ディベロッパー・コミュニティには積極的に協力しており、OpenAjax Allianceとの対話を通じて情報収集に努めている」との声明を出している。
(ポール・クリル/InfoWorld オンライン米国版)
OpenAjax Alliance
http://www.openajax.org/
提供:Computerworld.jp