ニーズが高まるWeb 2.0型のオフィス・ツール――IT部門にとっての課題は、新しさゆえの管理の難しさ

 ビジネス・システムへのWeb 2.0技術の導入が進むにつれ、同技術を取り入れたオフィス・ツールを望む声が企業ユーザーの間で高まっていると、サンフランシスコで開催中の「Office 2.0 Conference」(9月5日-7日)に参加した企業は口をそろえる。だが、新しさゆえの管理の難しさを理由に、導入に難色を示すIT部門も少なくないという。

 米国Googleのスプレッドシート製品担当プロダクト・マネジャー、ジョナサン・ロシェル氏は、「Google Docs & Spreadsheets」に備わるリアルタイム・コラボレーション機能のようなものが次世代オフィス・ツールでは重要との見通しを示した。オンライン上でドキュメント作成を共同で行えるツールへのニーズは確実に高まっていると、同氏は強調する。

 「Web 2.0ツールについては、コンシューマーだけでなく企業ユーザーも期待を寄せている。ワークグループがWeb 2.0ツールを取り入れているのは、こうしたツールを気に入っていて、そしてそれを使うと生産性が向上するからだ」(ロシェル氏)

 実際、Google社内では、従来のようにドキュメントを電子メールに添付して回覧したりすると、社内でやり玉に挙げられるという。「従来のやり方は生産性を損なうと社員自身が自覚するようになってきた」とロシェル氏は語る。

 Googleと同様にMicrosoftも、Web 2.0型のオフィス・ツールがこれから企業に浸透していくとみている。同社Office担当コーポレート・バイスプレジデントのリチャード・マカニフ氏は、「Facebookのようなソーシャル・ネットワーキング・ツールとオフィス・ツールが融合すれば、エンドユーザーの仕事のやり方は様変わりするだろう。そうした新しい要素の影響を、われわれは注意深く観察していかなければならない」と語った。

 しかし、新しいタイプのオフィス・ツールが企業にすんなりと受け入れられるとは考えにくい。とりわけ、ツールを管理するIT部門では、手間が増えるかもしれないツールを積極的に導入しようとは思わないだろう。

 Microsoftのマカニフ氏も、Web 2.0のような新技術が職場に導入されたときには管理に支障が生じると指摘。企業はそうしたツールを広く展開する前に、エンドユーザーがWeb 2.0技術に求めるものと、企業ITに必要なもののバランスを見極めなければならないと語る。

 「エンドユーザーがデスクトップで求めることと、IT部門が求めることは違う。両者のバランスを取る必要がある」(マカニフ氏)

 ホステッド型のWebアプリケーションを提供している米国エテロス・システムズの創業者、ダニー・コルク氏によると、Web 2.0技術を取り入れた“Office 2.0”ツールを巡りエンドユーザーから批判を受けているIT部門は少なくないという。

 「企業でGoogle Docs & Spreadsheetsが使われているのは、簡単にスプレッドシートを作成して共有できるからだ。ところがIT部門は、このデータは管理する必要があるとして、エンドユーザーをたがにはめようとする。Web 2.0ツールには確かな需要があるが、多くのIT部門は守旧派となってしまっているのが現状だ」(コルク氏)

(ヘザー・ヘイブンステイン/Computerworld オンライン米国版)

提供:Computerworld.jp