IBMとアルカテルがユニファイド・コミュニケーションで提携、Microsoftに対抗へ

 米国IBMとフランスのAlcatel-Lucentは10月30日、ユニファイド・コミュニケーション分野で提携したと発表した。両社製品の連携強化を図り、Microsoftのユニファイド・コミュニケーション製品に対抗する。

 IBMとAlcatel-Lucentの提携は、ボストンで開催中の「Fall VON」コンファレンス(10月29日-11月1日)で発表された。今回の提携発表に合わせ、Alcatel-Lucentは「Lotus Sametime」用の音声会議プラグイン「OmniTouch My Teamwork for Lotus Sametime」を披露した。

 このプラグインは、Sametimeのユニファイド・コミュニケーション機能を拡張する「Lotus Sametime Unified Communications and Collaboration API」をベースに開発されたもの。Sametimeとグループウェア「Lotus Notes」の両方から直接Click-to-Conference(クリック&会議通話)できる機能を提供するとともに、Sametimeを通じて音声会議のスケジューリングと管理を可能にする。

 Alcatel-Lucentの「OmniTouch Unified Communication」とSametimeの両ソフトを有するユーザーであれば、同プラグインを利用することができる。このプラグインは数週間以内にSametimeのパートナー向けサイトで公開される予定だ。

 両社がユニファイド・コミュニケーション分野で協力関係を結んだのは今回が初めてだ。ちなみにIBMは、Cisco SystemsやAvaya、Nortel Networksなどのネットワーキング・プロバイダーともユニファイド・コミュニケーション関連のパートナーシップを結んでいる。

 今回の提携はIBMの対Microsoft戦略が背景にある。IBMは、Sametimeをはじめとする自社のコラボレーション製品を、Microsoftのユニファイド・コミュニケーション製品に対するオープン標準の代替選択肢と位置づけている。

 IBMのユニファイド・コミュニケーション/コラボレーション担当プログラム・ディレクター、アキバ・サイーディ氏によると、同社は2年前にSametimeを改良し、ユニファイド・コミュニケーション・ソフト向けの開発プラットフォームとした。「(Sametimeの)オープン標準アーキテクチャは、直接プラグ&プレイできるソフトをパートナーが簡単に開発できるように設計されている」(サイーディ氏)

 Alcatel-Lucent以外にも、Sametime向けのユニファイド・コミュニケーション用プラグインを開発しているベンダーはある。例えば、Sametime用のClick-to-Call(クリック&コール)機能を開発したCiscoとアバイア、Sametime用の音声/ビデオ会議アドオンを提供しているポリコムとラドビジョンなどだ。

 対するMicrosoftのほうは、ユニファイド・コミュニケーション戦略の要となる「Office Communications Server 2007」を10月中旬に正式発表して注目を集めた。同社はさらに、同サーバのサポート・ベンダーを増やすべく、電気通信会社やネットワーキング/無線携帯端末プロバイダーに対し積極的に接触を図っている。

 しかし、IBMのサイーディ氏によると、Microsoftはパートナーの製品と競合する音声/ビデオ機能を自社のプラットフォームに組み込んでいるという。同氏は「われわれは、パートナーがSametimeに付加価値を追加することを望んでいる。言いかえれば、パートナーのプラグインと競合する機能をSametimeで開発する考えはない」と語り、パートナーに対するIBMの方針がMicrosoftのそれとは異なることを強調した。

(エリザベス・モンタルバノ/IDG News Service ニューヨーク支局)

IBM(米国)
http://www.ibm.com/
Alcatel-Lucent(フランス)
http://www.alcatel-lucent.com/

提供:Computerworld.jp