フランス規格協会が「Office Open XML」のISO標準化に反対の意向――Microsoftは反対投票を棄権するよう働きかけ

 フランス規格協会(AFNOR)は、米国Microsoftの文書フォーマット「Office Open XML」(OOXML)のISO(国際標準化機構)標準としての承認に反対する方針を固めたもようだ。ただし、同協会はこの件に関してまだ正式な発表は行っていない。

 MicrosoftはOOXMLの仕様を標準化団体のECMA(欧州電子計算機工業会)インターナショナルに提出し、同フォーマットのISO標準化プロセスは、通常より迅速な手続きで進められることになった。ISOは各国の加盟標準化団体に対し、OOXMLのISO標準として承認するかどうかを、9月2日までに投票するよう求めている。

 これを受けて、AFNORが8月28~29日に行った会議では、OOXMLのISO標準化に「意見付き反対」の票を投じることで最終合意に達したと出席者らが明らかにした。この合意に対して、MicrosoftはAFNORに投票を棄権するよう働きかけているという。

 Microsoftのフランス法人の法務/公共対応ディレクター、マーク・モス氏は、AFNORはまだ決定を下していないと強調する。

 AFNORの会議の出席者によると、AFNORは、外部の意見を入手する通常の手続きとは別のルートで、Microsoftの意見を支持する93通の書簡を受け取ったという。この書簡を送付したとされる組織や団体には、フランス貯蓄銀行、光学ガラスメーカーのエシロール、フランスのITユーザー団体CIGREFなどが含まれる。

 フランス貯蓄銀行の担当者は、同行が書簡を送ったかどうかについてのコメントを控えている。

 一方、CIGREFの代表でエシロールのCIOを務めるディディエ・ランバート氏は、エシロールは書簡を送付していないが、CIGREFは送付したと述べた。「エシロールはECMAによるOOXMLの標準化作業に参加した。Microsoftがこれまでになく積極的に取り組んでいる標準化の活動を促進したかったからだ」(同氏)

 CIGREFは、公式にはどの規格も後押ししていないが、すべての規格が相互運用可能になり、1社のベンダーが支配的な地位を獲得または維持することなく、利用者が市場で規格を自由に選択できるようになることを望んでいる。

 OOXMLはオフィス文書フォーマットの分野でOpen Document Format(ODF)と競合しており、AFNORを巡る今回の動きもそうした状況が背景にある。OOXMLとODFはいずれも、XMLファイルのコンテナ化という共通の技術基盤をベースにしている。

 ODFはすでにISO国際標準として承認されており、OpenOffice.orgなど多くのオープンソース・アプリケーションで採用されている。Google、Sun Microsystems、IBMなどのベンダーや、オープンソース・コミュニティが支持してきた。ODFは純粋なXMLフォーマットとしてゼロから開発されている。

 OOXMLはMicrosoftが提唱している仕様だが、これまでのところ、OOXMLをネイティブに採用しているアプリケーションは、同社のOffice 2007しかない。Microsoftは、同スイートが幅広い情報システムのフロントエンドとして使われるように、OOXMLに多数のビジネスXMLスキーマを統合する計画だ。

(バートランド・ルメール/CIOオンライン フランス版)

フランス規格協会(AFNOR)
http://www.afnor.org/

提供:Computerworld.jp