「脱線したITプロジェクトでも軌道修正は可能」――致命的な問題の解決に集中的に取り組めば、ほとんどは救済できる

 IT開発プロジェクトはスケジュールが遅れ、予算がオーバーしてしまうことが少なくない。だが、米国Forrester Researchが8月28日に発表したリポートによれば、そうしたプロジェクトの大半は救済することができるという。

 『Rescuing Train Wrecks: Putting Derailed Software Projects Back on Track(脱線したソフトウェア・プロジェクトを軌道に戻す)』と題したこのリポートには、「失敗したIT開発プロジェクトの数がいくつあるかについては議論の余地もあるが、失敗談を持つ企業の事例には事欠かない」と記されている。

 15社の法人ユーザーとベンダー7社の関係者に対する取材に基づいて作成された同リポートによると、プロジェクトの失敗はしばしば複数の問題が関係して発生するが、致命的な問題の解決に集中的に取り組めば、大半の問題は解決することができるという。

 関係者は通常、失敗したプロジェクトを立て直すのに協力的だ。これは、断念してしまうと、その投資から何も回収できなくなってしまうからだ。そうした状況を踏まえたうえで、「プロジェクトの投資対効果を把握し、そのプロジェクトを完了させる意義を関係者に理解させることは、プロジェクト救済者の責任だ」とリポートは指摘する。

 Forresterの取材に応じた幹部の多くは、「救済の取り組みはまずプロジェクトにストップをかけ、関係者に注意を喚起することから始まる」と答えているという。これは、プランニングのための時間を確保すると同時に、問題の核心に集中的にリソースを投入するための措置でもある。

 次に、企業は問題解決の中核となる「フィクサー」を任命し、あいまいな要件をすべて明確化する。その際、フィクサーには、以前の決定事項に左右されないよう、当初のプロジェクト担当者以外の人材を登用することが望ましいという。

 続いて、中間的な軌道修正のためにプロジェクトを小分けに分割して責任範囲を明確にし、そのほかの障害が発生する可能性に備える必要がある。

 さらに、当初からプロジェクトにかかわった開発チームに新しいプランを納得させ、士気を高め、自信を持たせるためにも、問題を迅速に修正しなければならない。

 同リポートは、今後の心構えとして、プロジェクトのスケジュールをより現実的に設定するよう奨励する。「プロジェクトの問題点や修正方法について、IT幹部や現場担当者と生産的な話し合いをする以前に、プロジェクト自体が座礁してしまっているケースが多い」とリポートは指摘している。

(ヘザー・ヘイブンステイン/Computerworld オンライン米国版)

米国Forrester Research
http://www.forrester.com/

提供:Computerworld.jp