AcerがGatewayを買収、Lenovoを抜き世界第3位のPCベンダーに――Lenovoのパッカード・ベル買収計画にも影響?

 台湾のAcerは8月27日、米国のPCベンダーであるGatewayを7億1,000万USドルで買収すると発表した。買収が成立すれば、AcerはライバルのLenovo Groupを抜き、世界第3位のPCベンダーへと躍進することになる。

 Acerの声明によると、同社はGatewayの発行済み株式を1株当たり単価1ドル90セントで購入する。両社ともすでに取締役会の承認を得ており、当局の認可を経て今年末までには買収が成立する見通しだ。先週金曜日のニューヨーク株式市場におけるAcer株の終値は1ドル21セントだった。

 AcerのJ.T.ワン会長は台北での記者会見で、「30年に及ぶAcerの歴史の中で、(Gatewayの買収は)間違いなく最大の取り引きだ。買収後、われわれは世界PC市場において単独で3位のベンダーになる」と述べた。

 Gatewayは今回の買収合意発表の直前、フランスを拠点とするPCベンダー、パッカード・ベルの親会社であるPBホールディング(PB Holding Co. SARL)の株式の第1先買権を同社が行使すると表明した。PBホールディングの筆頭株主であるジョン・ヒュイ氏は、2004年にGatewayが買収した旧eMachinesの創業者である。なお、GatewayはPBホールディング株購入の取引金額を明らかにしていない。

 これにより、AcerのライバルであるLenovoが計画中のパッカード・ベル買収が暗礁に乗り上げる形になった。

 Gatewayの獲得により、AcerはLenovoを追い抜き、世界PC市場で第3位の座を獲得することになる。2006年のPC出荷台数を見ると、AcerとGatewayは合計で1,860万台だったのに対し、Lenovoは1,660万台だからである。

 米国のPC市場でもAcerは著しい成長を見せており、同社は今年第2四半期(4月-6月期)に88万8,000台のPCを出荷。同市場におけるマーケット・シェアを5.2%と伸ばしている。

 一方、Gatewayは同四半期に米国PC市場で96万5,000台のPCを出荷しており、マーケット・シェアは5.6%で4位だった。

 これらの数字を合わせると、両社は最大のマーケットである米国PC市場でも、HPとDellに続く3位のシェアを獲得することになる。

 調査会社IDCのパーソナル・システム・リサーチ担当ディレクター、ブライアン・マー氏は今回の買収について、「米国のコンシューマーPC市場にとっては非常によい動きだ」と語る。ただしその一方で、AcerがGatewayを自社の運営にどのように統合するか、また合併作業を円滑に進められるかといった点では疑問が残ると指摘した。

 台北での記者発表で、GatewayのCEOであるエド・コールマン氏はビデオを通じ、「GatewayにとってAcerは最高の戦略的パートナーだ」と語った。

 Gatewayは昨年第2四半期に770万ドルの赤字を出したものの、今年の同期には190万ドルの純利益を計上した。同社では、コンシューマー部門の利益がビジネス/直販部門の減収を補ったと説明している。

 なお、Gatewayは27日、米国ビジネス部門の売却をサードパーティと交渉中だと述べているが、詳細は明らかにしなかった。

(サムナー・レモン&ダン・ニーステット/IDG News Service シンガポール支局)

Acer(台湾)
http://global.acer.com/index.asp
Gateway(米国)
http://www.gateway.com/

提供:Computerworld.jp