IBM、買収したWeb会議サービスをLotus Sametimeに統合――統合コミュニケーションへの取り組みの一環

 米国IBMは8月22日、統合コミュニケーションへの取り組みの一環として、Web会議サービス・ベンダーのウェブダイアログスを買収したと発表した。買収で手に入れたSaaS(Software as a Service)型のWeb会議サービスをLotus製品に統合する。

 IBMは、ウェブダイアログスのWeb会議サービスを、IM(インスタント・メッセージング)ソフトウェア・ファミリーの「Lotus Sametime」に統合する予定だ。これにより、SametimeユーザーはWeb会議のSaaSモデルを利用できるようになると、IBMの関係者は説明した。このWeb会議サービスは、コラボレーション・ソフトウェア「Lotus Notes」にも統合されるという。

 なお、同サービスのAPIは公開されており、サードパーティ側でこれをカスタマイズしたり、ほかのアプリケーション、製品、サービスなどに統合したりすることが可能になっている。

 マサチューセッツ州ビルリカに拠点を置くウェブダイアログスは、AT&Tやスプリント・カナダを顧客に持つ。IBMは、株式非公開会社であるウェブダイアログスの買収契約をすでに完了させている。金銭面の諸条件は公表されていない。

 IBMはサンフランシスコで開催中の「VoiceCon」コンファレンス(8月20日-23日)で、統合コミュニケーション戦略に関するいくつかの発表を行った。例えば、企業向けIMソフトウェアのSametimeを製品ファミリーに拡張するというのもその1つである。また、シーメンスの「OpenScape」ソフトウェアの一部をライセンス提供し、Sametimeファミリーに複数の統合コミュニケーション機能を追加するとしている。

 IBMのライバルとなるCisco SystemsやMicrosoftも、あらゆる形態の双方向音声およびデータと、任意の人物にすぐに連絡できる方法を示すプレゼンス技術とを組み合わせ、統合コミュニケーション分野への進出を図っている。

 Ciscoは今年3月に、Web会議アプリケーション・ベンダーのウェブエックス・コミュニケーションズを32億ドルで買収すると発表した。また、Microsoftは21日、同社もしくは同社が委託したサードパーティがMicrosoftの統合コミュニケーション機能を1つのサービスとして提供する計画を公にした。

 これに対しIBMは、主にサードパーティ製品との互換性を確立するといったアプローチで、統合コミュニケーション機能の拡充に取り組んでいる。

 IBMのLotusソフトウェア部門ゼネラル・マネジャー、マイケル・ロディン氏は、ウェブダイアログスのサービスはきわめて使い勝手がよいと、 VoiceConでの記者会見でアピールした。「ウェブダイアログスのWeb会議サービスは、電話会議の延長のような形で利用でき、会議参加者のPCに特別な設定を施しておく必要もない。企業のIT部門がサポートしなくても、簡単に使えるサービスだ」

 ロディン氏はまた、「なるべくシンプルな技術を求めていた。ウェブダイアログスのサービスは、われわれの顧客層の拡大に役立ってくれるだろう」と述べ、IBMの得意先である大規模企業だけでなく、中小規模企業にも有用なソリューションだと強調した。

(スティーブン・ローソン/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国IBM
http://www.ibm.com/
米国ウェブダイアログス
http://www.webdialogs.com/

提供:Computerworld.jp