AMD、次世代プロセッサ戦略を明らかに――サーバ向け「Bulldozer」と家電向け「Bobcat」を2009年に投入

 米国AMDは、CPUとグラフィックス・プロセッサを1つのユニットに統合し、ワークステーションからHDTV、携帯電話まで、さまざまな機器向けに提供する新戦略を明らかにした。

 AMDは7月26日、カリフォルニア州サニーベールの本社にアナリストと報道記者を招いて開催した「AMD Technology Analyst Day」で、サーバおよびデスクトップ・コンピュータ市場での製品強化と、多機能携帯電話および家電(ゲーム機、Web対応TVセットトップ・ボックスなど)市場の開拓を2本柱とする今後の事業展開を説明した。

 2006年に実施したグラフィックス・プロセッサ・ベンダーのATIテクノロジーズの買収で得た成果物を最大限に活用し、AMDが主力とするサーバ/PC市場に加え、成長を続けるホーム・エンターテインメント/モバイル・デバイス市場へと事業を広げることを目指すという。

 アナリストの1人は、AMDはこの取り組みによって、ライバルのIntelへの対抗を強化しようとしているが、同時に、既存のモバイル・チップ・メーカーに挑戦状を突きつけることを意味すると指摘している。

 AMDのコーポレート・バイスプレジデント兼CTO(最高技術責任者)、フィル・ヘスター氏は、AMDは次世代CPUコアとして「Bulldozer」ラインと「Bobcat」ラインを投入することを紹介した。Bulldozerはサーバ、ワークステーション、PC向け、Bobcatは携帯デバイス、家電向けプロセッサである。

 同氏によると、これらの新プロセッサは、PCやサーバ向けの同じx86プロセッサ・アーキテクチャをベースに開発され、2009年に市場投入される見通しという。

 「われわれは、AMDの力とATIの力を融合したいと考えており、それぞれの技術を効果的に統合していく」(ヘスター氏)

 AMDの幹部は、高精細ビデオ画面を備える機種が多い携帯電話やPDAといった小型デバイス市場は成長性が高いと見ているようだ。Web対応が進み、ハイエンド・グラフィックス機能を持つゲーム機、セットトップ・ボックス、HDTVなどの市場についても同様だ。

 調査会社インスタットの業界アナリスト、ジム・マグレガー氏は、AMDはポータブル・デバイス市場で、ARMプロセッサ・アーキテクチャを開発したARMをはじめ、MIPSテクノロジーズなどの組み込みプロセッサ・メーカーと競合することになると語る。

 同氏は、「ARMは大きなインストール・ベースを持つ手ごわい相手だ」としながらも、AMDがモバイル分野に重点を置いている点について適切な判断だと評価する。かさばるノートPCを持ち運ばずに、外出先でもインターネットにアクセスしたいと考える消費者が増加しており、モバイル・デバイス市場が活況を呈しているからだ。

 一方、AMDは、8月出荷予定のクアッドコア・プロセッサ「Barcelona」(開発コード名)の詳細も発表した。サーバ/ワークステーション部門コーポレート副社長、ランディ・アレン氏によると、BarcelonaではHE、Standard、SEの3つのモデルが用意されるという。

 HEは電力効率を重視したモデルで、最大クロック速度は1.9GHz、Standardは電力効率とパフォーマンスの最適なバランスを実現するとされており、最大クロック速度は2.0GHz、SEはパフォーマンスを優先したもので、最大クロック速度は2.3GHz。AMDはBarcelonaの出荷量のうち、HEが17%、Standardが77%、SEが6%を占めるという。

 これらの価格や出荷日は明らかにされていない。

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国AMD
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提供:Computerworld.jp