AMD幹部が明言、「Barcelonaでサーバ向けプロセッサ市場のシェアを奪還する」――「リリースと同時に出荷し、できるだけ早く市場に投入したい」

 米国AMDにとって、同社初のサーバ向けクアッドコア・プロセッサ「Opteron」(開発コード名:Barcelona)は、失敗が許されない製品だ。サーバ向けプロセッサ市場で、ライバルの米国Intelに大きくシェアを奪われている同社は今年4月、2007年第1四半期決算で6億1,100万ドルの赤字を計上している。はたしてBarcelonaの投入で、この窮地を脱することができるのか――。AMDでコマーシャルビジネス担当副社長を務めるケビン・ノックス氏に聞いた、Barcelonaリリースにかける意気込みとは。

サムナー・レモン
IDG News Service シンガポール支局

――AMDはBarcelonaをどのような製品と位置づけているのか。

 非常に重要であり、かつ必ず成功すると期待している製品だ。われわれはBarcelonaのリリースで、AMDが失ったサーバ向けプロセッサ市場のシェアを取り戻せると確信している。

 Barcelonaは、単なるAMD初のクアッドコア・プロセッサというだけではない。演算ユニットを強化し、アーキテクチャの一部を根本から変更した、新しいプロセッサだ。例えば、キャッシュ、HyperTransport(次世代I/Oアーキテクチャ)などもすべて見直し、改良している。クアッドコア・プロセッサは、2つのデュアルコア・プロセッサを合体させただけの製品だと言う人がいるが、それはまちがった認識だ。

――ライバルのIntelは、すでにサーバ向けクアッドコア・プロセッサ(Xeon 5300番台)を出荷している。後発となるBarcelonaの優位性は何か。

 Xeon 5300番台とBarcelonaを比較すると、まったく異なった設計であることがわかる。Xeon 5300番台は、デュアルコア・プロセッサを2つ組み合わせた製品だが、Barcelonaは、ネイティブ・クアッドコア設計に基づく製品である。処理速度を見ても、両製品の違いは明らかだ。

編集部注:AMDは今年4月23日、Xeon最上位モデルとBarcelonaのベンチマーク・テスト結果を発表し、BarcelonaのほうがXeon最上位モデルよりも50%高速であると主張している

 今回、デュアルコアからクアッドコアへの移行に多少時間がかかったのは、クアッドコアへの移行作業に手間取ったからではなく、コア自体の機能を強化したからだ。中でも仮想化技術と電力の効率化には、かなり注力した。

 さらにISV(独立系ソフトウェア・ベンダー)およびハードウェア・ベンダーと連携し合い、Barcelonaを中心としたエコシステムの構築にも取り組んでいる。これにより、製品リリースと同時に、(Barcelonaを取り巻くサーバ環境が整うので)一気に顧客を取り込むことができる。

――主要顧客には、テスト用のサンプル・システムを出荷したのか。

 主要顧客に対しては、すでにいくつかのサンプルを「シード」(ユーザーに貸し出す試作品)として出荷している。デュアルコア・プロセッサからクアッドコア・プロセッサへ移行する場合や、プロセッサに新機能が追加された場合、顧客は新プロセッサを試用し、検証しなければならない。

 特にBarcelonaは、複数の新機能が搭載されている。今回のシード・プログラムは、サーバ市場で実施したことのない、大規模なものであることを付け加えておこう。

――「Barcelonaのリリース日」は、同日にBarcelona搭載のサーバが販売されると考えてよいのか。

 詳細は検討中だが、実際の製品を伴うリリースにするつもりだ。

 過去のサーバ向けプロセッサは、“リリース”されてから製品を搭載したサーバが量産販売されるまでには、かなりの時間がかかっていた。例えばIntelのXeon 5300番台は、昨年11月に“リリース”されたが、半年経ってもサーバ市場でXeon 5300番台を搭載した製品は少ない。これは、(既存の製品と)スムーズに移行していないことを意味し、製品の出荷準備が不十分だった証拠だと言えるだろう。

 AMDはBarcelonaをリリースと同時に出荷し、(搭載サーバが)できるだけ早く市場に出回るようにしたいと考えている。

(Computerworld.jp)

米国AMD
http://www.amd.com/

提供:Computerworld.jp