AMD、欧州委によるIntel独禁法違反のさらなる追及に期待――「支配的地位の乱用は明らかで、追及は今後迅速に進む」

 米国AMDは7月27日、独禁法違反問題で欧州委員会がIntelに異議告知書(Statement of Objections)を送付したことを評価するとともに、さらなる追及に期待感を示した。

 欧州委員会はIntelに対する正式な追及措置に踏み切るまでに、調査に7年を費やしており、これはMicrosoftのケースの3年より長期にわたっている。だが、AMDの広報担当者ジェンス・ドレウス氏は、欧州委員会が26日に異議告知書をIntelに送付したことを評価するとともに、Intelに対する追求が今後迅速に進むとの見方を明らかにした。

 「(IntelとMicrosoftのケースは)非常に異なっている。Microsoftのケースは知的財産が絡んでいるが、Intelのケースは支配的地位の明らかな乱用が問題視されている」(ドレウス氏)

 欧州委員会はIntelあての異議告知書の中で、製品に搭載するx86プロセッサのほとんどをIntelから購入するコンピュータ・メーカーに対し多額のリベートを提供しているとして、Intelを非難した。

 また欧州委員会は、コンピュータ・メーカーがAMD製プロセッサ搭載マシンの投入を取りやめたり、販売を延期したりした場合に、Intelはその見返りに資金を提供していると指摘。さらに、政府機関や大学といった大口顧客に対し、コストを下回る価格でサーバ・コンピュータを販売していると記している。

 これに対してIntelは、「当社の行動は合法的なもので、競争促進的であり、消費者の利益にかなっている」との声明を発表し、半導体市場に激しい競争があることに言及。ディスカウントやリベートの提供は一般的なビジネス慣行だと主張している。

 しかし、AMDと欧州委員会はそう考えていない。「コスト割れ価格や略奪的価格の設定は、短期的には消費者の利益になるかもしれないが、長期的には消費者の利益を損なう。選択肢を提供する競合企業を締め出してしまうからだ」と両者は述べている。

 これまでは、Intelに対する欧州委員会の調査が停滞した時期もあった。AMDとともにIntelの営業手法に苦情を申し立てていた台湾のVIAテクノロジーズが、2002年に同調査への関与を取りやめると、欧州委員会は調査を事実上棚上げした。この状態は、2003年にAMDが新しい証拠を欧州委員会に提出するまで続いた。

 欧州委員会は2004年、Intelの市場での行動に関する質問状をコンピュータ業界各社に送付した。翌2005年には、英国、ドイツ、スペイン、イタリアで、Intelと多くのコンピュータ・メーカーのオフィスに立ち入り調査を行い、証拠の追加を図っている。

(ポール・メラー/IDG News Service ブリュッセル支局)

米国AMD
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提供:Computerworld.jp