Microsoft、Exchange Server 2007 SP 1をリリース――障害復旧機能とマルチテナンシー機能を新たに追加

 米国Microsoftは11月29日、Exchange Server 2007 Service Pack(SP)1をリリースした。バグの修正と安定性の強化をはじめ、ビジネス・ユーザーの使い勝手を向上させる新機能が追加されている。すでに同社のWebサイトからダウンロードできる(日本語版も同日提供)。

 Exchange Server 2007 SP 1には、来年前半にリリースが予定されているWindows Server 2008のサポートが盛り込まれているほか、Exchange Server 2007とOffice Communications Server 2007とを統合するための機能も備わっている。

 Exchange Serverを搭載したサーバの販売および電子メール/アーカイビング・サービスを提供する米国AzaleosのCTO、キース・マッコール(Keith McCall)氏は、Exchange Server 2007 SP 1でWindows Server 2008をサポートしたことは、ユーザーにとって大きな意味があると指摘する。

 また Exchange Server SP 1は、マルチテナンシー技術も備えている。マルチテナンシー機能とは、1つのExchange Serverで複数の顧客にホスティング環境を提供できるようにする機能だ。同機能を利用すれば、ホスティング環境の安定性向上が期待できるという。

 Microsoft のホスティング・パートナーである米国Intermediaの戦略担当バイスプレジデント、ラリック・ブラッドベリー(Rurik Bradbury)氏は、「マルチテナンシー機能は、Exchange Serverをホステッド・サービスとして提供する企業が抱える問題を解決するものだ」と歓迎する。

 さらにExchange Server SP 1には、フェールオーバを実現する「Standby Continuous Replication(SCR)」と呼ばれる、新しい障害復旧機能も追加されている。

 ただしBradbury氏は、Exchange ServerがSCRを備えたことに批判的だ。同氏はSCRのようなフェールオーバ機能を顧客に提供するのは難しく、SCRを利用するためには新たにサーバを追加しなければならないので、Exchange Serverのコスト上昇につながると指摘する。

 一方McCall氏は、法令順守のためのメッセージ・アーカイビング機能がExchange Server SP 1で提供されなかった点を「残念だ」としている。Microsoftのパートナーは以前から同機能の搭載を求めていたが、Microsoftはビジネスの継続性を実現する機能を優先した格好だ。

 Microsoftによると、「Technology Adoption Program(TAP)」の一環として27万人のベータ・テスターが参加し、そのうちの3万人以上がWindows Server 2008(ベータ版)との組み合わせをテストしたという。MicrosoftはTAPユーザーから寄せられたフィードバックをオンラインで公開している。

 約1年前にリリースされたExchange Server 2007は、これまでに3,000社を超える企業で100万シート以上が導入されている。McCall氏は、これまでExchange Server 2003からExchange Server 2007への移行をためらっていたユーザーも、Exchange Server SP 1のリリースを機にExchange Server 2007に移行する可能性があると指摘している。

(Elizabeth Montalbano/IDG News Service ニューヨーク支局)

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提供:Computerworld.jp