OpenOffice.orgにMac OS Xネイティブのプレビュー版が登場

 今週、OpenOffice.orgから同プロジェクト初となるMac OS Xネイティブのパッケージがリリースされた。これらの「開発スナップショット」はエンドユーザ向けのものではないが、Macへの生産性スイート移植の重要なマイルストーンであることに違いはない。

 PowerPC Mac用とIntel Mac用の各ディスクイメージは、Mac向け移植のサブプロジェクトから直接ダウンロードまたはBitTorrent経由で入手できる。プロダクション環境での使用には適さないとの但し書きはあるものの、各ビルドはX11を利用せずに直接OS X上で動作する最初のOpenOffice.orgコードである。

 X11ではなくネイティブのOS Xライブラリを利用するということは、印刷やフォントの管理システムのような基本機能だけでなく、ボタン、ファイルセレクタ、メニューなどのインタフェース部品もネイティブのものがこのオフィススイートで使えることを意味する。ただ残念ながら、現行スナップショットにおける印刷機能のサポートには問題があり、それ以外にもPDFのエクスポート、複数モニタへの対応、コピーアンドペーストといった機能に既知のバグが存在する。

 こうしたAquaへの移植活動はOpenOffice.orgプロジェクトによる正式なものだが、別の取り組みとしてNeoOfficeプロジェクト(4月にレビュー済み)がある。これはOpenOffice.orgコードの開発がまだSun Industry Standards Source License(SISSL)の下で行われていた頃にスピンオフした組織で、OS Xとの統合を独自に追求してその成果をGPLの下で公開している。

 ライセンスの相違のほか、NeoOfficeとOpenOffice.orgフォークの間には技術的な方針の違いもあった。例えば、NeoOfficeではOS XのCocoaとJavaの双方のAPIを利用している。このことは、NeoOfficeが「Javaで書かれている」との度重なる誤解の発端になった。また、NeoOfficeでは、OS Xの新機能(Spotlightなど)をクロスプラットフォーム指向のOpenOffice.orgコードベースの外側から呼び出している。

 現段階でOS Xとの統合という観点から見ると、明らかにNeoOfficeのほうがOpenOffice.orgよりも先行している。NeoOfficeは昨年すでに最初の一般向けリリースを済ませ、その後も日常使用に十分に堪え得る安定したビルドをリリースし続けている。OpenOffice.orgのAquaへの移植がそこまでたどり着くのにどれくらいかかるかはまだわからないが、今回リリースされた開発スナップショットは今後に期待が持てる素晴らしい成果と言えよう。

NewsForge.com 原文