何気なく使用していた最良のオフィススイートGo-OO

 Ubuntu、openSUSE、Debian、Mandrivaなどのディストリビューションを使用している場合、OpenOffice.orgを起動すると実行されるのは、「正式」版ではなくOpenOffice.orgのソースコードをベースとするオフィススイートGo-OOである。Go-OOには、ライセンスやビジネス上の理由によりSunには承認されていない(し、今後承認されることもおそらくない)各種拡張機能が含まれている。

 OpenOffice.orgの主要なコード提供者であるSunは、プロジェクトの開発、ライセンス、著作権に対して独自の方針を定めており、そのために一般のオープンソースコミュニティとはしばしば衝突が生じている(Go-OOとOpenOffice.orgの間の対立については、こちらのOpenOffice.org開発者とのインタビューを参照のこと)。Go-OOを主に推進しているのはNovellだが、DebianやUbuntuの開発者らも、大量のパッチの維持管理と、それらのパッチがOpenOffice.orgの新しいバージョンと矛盾しないように注意するという点において協力している。以前はGo-OOとOpenOffice.orgのリリースには時間差があったが、現在では両者はかなり近い時期にリリースされている。

 したがってUbuntu 8.10でOpenOffice.orgをインストールする場合、パッケージ名は「OpenOffice.orgオフィススイート」になっているが、パッケージ説明の最後には「ホームページ:http://www.go-oo.org」と記載されていることから、実際にはGo-OOであることがわかる。

 Go-OOは、LinuxとWindowsの両方に対して提供されている。使用しているディストリビューションのリポジトリに存在しない場合は、必要なバージョンを自分でダウンロードしてインストールすることになるが、既にOpenOffice.orgがインストールされている場合は、Go-OOをインストールする前に、それを削除しなければならないかもしれない。

その他の派生版
 OpenOffice.orgの派生版はGo-OOだけではない。Macintoshユーザー向けには、Mac環境にうまく合わせて統合されているNeoOfficeがある。これはOpenOffice.orgのバージョン2.2をベースとしているため、OpenOffice.orgの最新機能がすべて搭載されているわけではない。

 OxygenOfficeは、Go-OOコードをベースとしている。テンプレート、クリップアート、フォント、サンプルを含めて外観を美しくすることを主な目的としている。

 Go-OOの最新機能としては、以下のようなものがある。

  • OpenOffice.orgよりも優れたグラフィックス機能。SVGWPG形式のグラフィックス、EMFファイルをインポート可能。
  • プレゼンテーション向けの3Dトランジション。
  • 任意の条件を満たすセル値が検索可能なスプレッドシート向けソルバー。現在ではOpenOffice.orgにも独自のソルバー機能が搭載されているが、先に搭載したのはGo-OOであり、こちらのサイトでSunと独立系開発者らとの間の確執が詳細に記載されている。
  • VBAマクロとOffice 2007のOpenXMLファイル形式のサポートや、Microsoft Worksなど、Microsoft Officeとの優れた統合性。

 しかし多くのユーザーが気付くのは、Go-OOの方が起動時間や応答時間が短く、高速であるという点だろう。Go-OOの方が必要なメモリ容量も少ない。

 それとは知らずに今までGo-OOを使用していたユーザーは、わざわざOpenOffice.orgの最新版へと変更する必要はないだろう。しかし「正式な」OpenOffice.orgしか使用したことがないユーザーは、より高速で機能も追加されたGo-OOを試してみる価値がある。

Federico Kerekiはウルグアイ在住のシステムエンジニア。20年以上にわたり、システムの開発、コンサルティング活動、大学での教育指導を続けている。

Linux.com 原文(2008年12月4日)