ウィンドウを分割するFirefox拡張

 Firefoxで一度に複数のサイトを表示できればと思ったことはないだろうか。とは言ってもタブを使っての閲覧のことではない。またブラウザのウィンドウを2つ開いて器用に操作するという話でもなく、2つのサイトを隣り合わせに並べて閲覧するということだ。Firefoxだけではこのような閲覧方法はできないが、Split Browser拡張を利用すると、一つのブラウザウィンドウ内で複数のサイトを閲覧することができるようになる。

 ブラウザのコンテンツ表示用ウィンドウを複数の区画へ分割するということ自体は新しいアイデアではない。例えばKonquerorにはこの機能翻訳記事)はかなり前からあった。

 Split Browser機能がどういう役に立つのかというと、複数のサイトを隣り合わせにして見比べることがしやすくなるため、特にウェブ開発者にとっては便利だろう。また、常時見えるようにしておきたいGmailのようなウェブサイトがある場合などにも役に立つ。

 Split Browser拡張はFirefox用アドオンのサイトから入手することができる。「Install Now」ボタンをクリックしてインストールし、Firefoxを起動し直せば、Split(分割)という新しいメニューが表示されるはずだ。

Split Browserを使ってみる

 Split Browser拡張は非常に分かりやすいので、使いこなせるようになるまでに時間はかからないだろう。Split(分割)メニューをクリックすると、Split Browser拡張に関する全操作が表示される。

 なお表示される操作の中には、ウィンドウをすでに分割しているかどうかによって、無効なメニューとして表示されているものもある。ページ上で右クリックすると、コンテキストメニューの中にSplit browser to(ブラウザを分割)という選択肢が表示されるはずだ。この操作を実行すると、右/左/上/下のどの方向に分割するかを選択した上でブラウザのウィンドウを分割することができる。

 また、ウェブページを表示しているフレーム内でウィンドウの端近くにマウスをかざすことでも、ウィンドウを分割することができる。例えばウィンドウの左端にマウスをかざすと、短い時間の後に矢印が付いたボタンが現われ、「Split to Left(左に分割)」というヒントが表示される。その矢印ボタンをクリックするとウィンドウが左側に分割され、その時点で表示されているページが両側に表示される。なお矢印は必ずしもマウスが指している場所に現われるのではなく、フレームの中央に表示される。

 ウィンドウを分割すると、その時点で表示しているページのタイトルを示すタイトルバー、ウィンドウを閉じるための赤いボタン、そして右側に(Preferences(設定)で有効になっている場合には)画面を表示する/閉じるためのボタンが表示される。またタイトルバーをクリックすると、その時点で表示されているページのURLを示すロケーションバーとナビゲーションボタンにタイトルバーが変わり、右側には閉じるためのボタンや表示する/隠すためのボタンが表示される。分割したウィンドウは、他に表示されているページがよく見えるようにするために隠すことができる。

 新たなページを開くときに、ウィンドウを分割してからそのページを開きたい場合には、開きたいページへのリンク上で右クリックする。するとコンテキストメニューの中にLoad in split browser(分割後のブラウザに読み込む)という選択肢が現われるはずだ。ここでも先ほどと同様に、現在表示しているページの左/右/上/下のどこに新しいページを開くかを選ぶことができる。

 また、Split Browser拡張を使うとウィンドウをタイルのように並べて表示することもできる。そのためにはタブをいくつか開いておき、「Split(分割)→Tile all tabs(すべてのタブを平面に並べる)」を実行すると、すべてのタブが一つのウィンドウ内に分割されて表示される。あるいはタブのレイアウトを自分で調整するつもりなら「Tile all tabs horizontally(すべてのタブを横に並べる)」や「Tile all tabs vertically(すべてのタブを縦に並べる)」を利用すると便利かもしれない。

便利な組み合わせ

 Split Browser機能は単独で使用しても便利だが、Fullerscreen翻訳記事)と組み合わせて使用すると、Firefoxを最大限に活用することができる。

 Split Browser拡張とFullerscreen拡張とがインストールされている状態で、F11を入力すると、Firefoxを全画面表示にするFullerscreenモードが有効になる。そこで次にウィンドウを分割して新たなページを開くとよい。ワイド液晶ディスプレイなど大画面ディスプレイを利用している場合には、2つのページを隣り合わせに表示しても、水平方向にスクロールせずにページ全体を閲覧できるはずだ。

 分割したウィンドウで複数のページを閲覧している状態からタブ表示に切り替えたい場合には、「Split(分割)→Gather all split browsers here as tabs(すべての分割したブラウザをタブに集める)」を実行すると、分割されていたウィンドウがそれぞれタブ表示され、分割されていたウィンドウは閉じられる。

 なお、Split Browser拡張は「Tools(ツール)→Add-ons(アドオン)」経由でカスタマイズすることもできる。Extensions(拡張)タブを選択後、Split Browserバーをハイライトし、Preferences(設定)を選択すると、General(全般)、Appearance(外観)、Menu(メニュー)という3つのボタンが表示される。General(全般)タブでは、Split Browser機能の状態を保存するかどうか(保存しておくと、ブラウザを再起動したときにウィンドウの分割状態が復元される)や、Firefoxのコンテンツ表示部分の端にSplit(分割)ボタンを表示するかどうかや、タブを分割ウィンドウで表示したときにタブを閉じるかどうかなどを設定することができる。Appearance(外観)タブでは、分割ウィンドウ内にツールバーを表示するかどうかや、分割ウィンドウ内にCollapse/Expand(たたむ/ひろげる)ボタンを表示するかどうかを設定することができる。またMenu(メニュー)タブでは、Firefoxのコンテキストメニューに対して項目を追加/削除したり、Split(分割)メニューを表示するかどうかを選択したりすることができる。

完璧なものはない

 Split Browser拡張にもいくつかの問題点はある。一つには、ページをリロードしたり前のページや先のページに移動するなどのナビゲーションを行なったりする際、分割後のウィンドウを選択していても、その操作が元のウィンドウに対して行なわれるということがある。したがって例えばページを分割して「分割して新しくできた方の」ページをリロードしようとしても、「分割して新しくできた方の」ページではなく元からあった方のページが更新されることになる。この動作は非常に直感に反している。

 また、ナビゲーション操作は分割してできたウィンドウの上部にあるツールバーを使用して行なうことができるようになっているのだが、ページのタイトルが表示されているためにナビゲーション操作に関するボタンを見ることができないことがある。また、分割後のウィンドウからはブックマークにアクセスすることができず、メインのウィンドウからしかブックマークを利用できない。

 さらに、分割されたウィンドウの一つ一つにそれぞれ追加されるツールバーが表示画面という貴重な資源を無駄に使ってしまうという問題点もある。この点については私は、Split Browser拡張もKonquerorのナビゲーションやロケーション操作と同様の動作をしてほしいと感じた。Konquerorでは常に、選択しているウィンドウに対して操作が行なわれるようになっている。

 表示画面ということに関して言えば、多くのウェブページは小さなウィンドウ内ではうまく表示されない。これはSplit Browser拡張の落ち度ではないのだが、FirefoxでSplit Browser拡張を使用して複数のページを閲覧することを検討している場合には、1680×1050以上の解像度のモニタを使用するのが望ましいだろう。

NewsForge.com 原文