AMD、次期ノートPCプラットフォーム「Puma」の投入計画を発表、提供開始は2008年半ば――Intel「Santa Rosa」の先行を許す

 米国AMDは5月18日、Intelの最新ノートPCプラットフォーム「Santa Rosa」(開発コード名)に対抗する「Puma」の投入計画を発表した。

 Pumaは、AMDの次世代モバイル・プロセッサ「Griffin」と次世代チップセット「RS780」で構成され、既存のTurionプロセッサを搭載するノートPCよりも、電力効率、メモリ効率、プロセッサ帯域幅を大幅に向上させたノートPCの製造が可能になる。

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PumaプラットフォームにGriffinを搭載したデモ・システム(写真:PC World オンライン米国版)

 PCベンダーはGriffinとサードパーティのチップセットを組み合わせることも可能だが、そうして製造されたノートPCでは、Pumaベース製品の電源管理機能を一部利用できないという。

 AMDは、Intel製品が大きなシェアを誇るノートPC向け市場への食い込みを図り、一定の成果を上げてきた。だが、Intelは5月9日に、人気を博しているノートPCプラットフォーム「Centrino」の新製品として、Santa Rosaのコード名で呼ばれてきた新しい「Centrino Duo」および「Centrino Pro」をリリースしている。

 AMDは、Pumaプラットフォームの投入により、新製品開発で先行するIntelを追い上げたい考えだが、Pumaの提供は2008年半ばに開始される見通しで、Santa Rosaに大幅な遅れを取ることになる。

 ただし、PumaにはSanta Rosaよりも優れている点があると指摘するアナリストもいる。例えば、Santa RosaではMicrosoftのDirectX 9グラフィックス技術をサポートしているが、PumaはDirectX 10に対応するというのだ。ちなみに、両プラットフォームはいずれもHD-DVDとBlu-rayの高精細ビデオ、HDMIストリーミングをサポートする。

 カレント・アナリシス・ウェストのリサーチ担当ディレクター、サミール・バブナニ氏は、「AMDはPumaのこれらの機能を売り物に、サーバや消費者市場での最近の成功をベースに、利益率の高いビジネス向けノートPC市場でシェアを拡大できる可能性もある」と分析している。

 また、AMDのコンピュータ製品部門のAMDフェロー、モーリス・スタインマン氏は、「Pumaは、起動やスリープ状態からの復帰処理についても、Santa Rosaと互角の速さを提供する」と強調する。

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Griffinのコア・ダイアグラム(資料:AMD)

 これらの処理を高速化するために、一般的なハードディスク・ドライブ(HDD)の処理をフラッシュ・メモリで補完する技術を使用する。Santa RosaではTurbo Memory、PumaではHyperflashをサポートする。

 さらに、AMDはPumaの開発により、AMDのCPUと、最近買収したATIのグラフィックス・チップセットの統合を推し進めた「fusion」チップを、2009年までに開発する目標に向けて全力を注ぐ、とスタインマン氏は述べている。

 AMDが現在販売しているノートPC向けのTurionプロセッサは、Opteron、Athlon、Sempronプロセッサと同様のマイクロアーキテクチャを採用している。AMDは次世代のGriffinにより、グラフィックスや帯域幅に関する最新ニーズへの対応に向けてノートPC向けプロセッサをアップグレードする。

 Griffinは、65nmプロセスによるAMDの最新のデュアルコア・プロセッサと同じプロセッサ・コアを採用するが、「現行プロセッサよりも優れたさまざまな機能を盛り込んでいく」とスタインマン氏は説明する。

 同氏によると、例えば、Griffinは、Windows Vistaが提供するPCのスリープ状態の管理機能を完全サポートするほか、バッテリ駆動時の動作の効率化により、バッテリ駆動時間を延ばすことができるという。

(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)

米国AMD
http://www.amd.com/

提供:Computerworld.jp