Sun、GPLでオープンソース化したJava開発キットをリリース――OpenJDKコミュニティを通じて提供
ただし、権利上の問題から、オープンソース化できずにいるJavaコードも一部残っている。SunのOpenJDKコミュニティ担当マーケティング責任者、リッチ・サンズ氏によると、そうしたソースコードについては、今後、オープンソース・コミュニティの協力を得て問題の解決に当たる方針だという。
サンズ氏は、JDKの650万行のコードのうち、どの程度がそうした問題を抱えているかについては明言しなかったが、問題は主にJava 2Dグラフィックス技術、特にフォントとグラフィックスのラスタライジングに関するものだという。同技術の代替となるものはいくつかオープンソースで提供されているが、いずれもJava 2D APIの必要な機能をすべてサポートしているわけではない。
Sunはさしあたり、Java 2D用のプラグインを提供し、GPLv2の下で提供される残りのJava技術と組み合わせて利用できるようにすることで、開発者に完全なJDKへのアクセスを提供する方針だ。将来的には、オープンソース・コミュニティの協力の下、権利上の問題があるコンポーネントを書き直し、現行のクローズドなソースコードをリプレースして、GPLv2の下で公開する計画だという。
Javaのオープンソース化についてSunが初めて発表したのは、ちょうど1年前の昨年5月に開催された「2006 JavaOne」コンファレンスの場だった。
その後、同社は11月にJava SEのオープンソース版(初期バージョン)をOpenJDKとしてリリースしたが、その際にオープンソース・ライセンスとしてGPLv2を選択したことが、業界では驚きをもって受け止められた。Sunはそれまで独自ライセンスのCDDL(Common Development and Distribution License)を採用しており、オープンソース・コミュニティで人気のGPLを同社が採用するのは初めてだったからだ。
Sunは、GPLの下でオープンソース化されたJDKが、Linuxディストリビューションにバンドルされることを期待している。そうなれば、これまで以上にJavaを開発者にアピールできるからだ。実際、Ubuntu Linuxプロジェクトの創設者であるマーク・シャトルワース氏は今年4月、「Javaが完全にGPLの下で提供されるようになったら、カノニカル(同氏の会社)はUbuntu LinuxのコアにJavaを組み込むことを検討する」と語っている。
ちなみに、オープンソースのJDKベースで開発されたJavaアプリケーションの互換性は、「Java SE 6 Compatibility Kit」を使って確認できるようになっている。互換性認定を受けたものについては「Java Compatible」のロゴを使用できる。
またSunは、Javaの今後の管理に関して、暫定的なOpenJDKガバナンス委員会を設置し、来年中に正式な憲章を策定する方針だ。憲章の策定が終了した時点で、OpenJDKコミュニティにより、正式なガバナンス委員会が選出される。なお、委員会に参加するSunの社員は2名に制限される。
Sunのソフトウェア担当シニア・バイスプレジデントであるリッチ・グリーン氏はこの1年間を振り返り、「SunにとってもJavaにとっても、注目すべき輝かしい1年だった」と語っている。
(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)
米国Sun Microsystems
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提供:Computerworld.jp