Sun、オープンソースのJava EE 5サーバ新版「GlassFish V2」をリリース――Microsoft製品との相互運用機能などを新たに搭載

 米国Sun MicrosystemsとGlassFishコミュニティは9月17日、オープンソースのJava EE 5対応アプリケーション・サーバ新版「GlassFish V2」をリリースした。

 ディベロッパー向けとされたGlassFish V1に対し、今回の同V2はエンタープライズ・レベルのアプリケーション・サーバの系譜に位置づけられており、クラスタリング、データ・レプリケーション、サーバ・クラスタ集中管理などの機能を搭載している。

 新版では、JavaシステムにホスティングされたWebサービスとMicrosoft製品との相互運用機能も強化されており、「Project Metro」と呼ばれるWebサービス・スタックの一部として提供される。同機能について、Sunのオープンソース・コミュニティ担当マーケティング・マネジャー、ケン・ドラチニク氏は、「当社とMicrosoftの協力関係の副産物だ」と語っている。

 また「Open ESB」機能を使えば、各種Webサービスを既存のエンタープライズ・リソースに統合することができる。Sunでは、Webサービスを介したSOA(サービス指向アーキテクチャ)関連機能の提供がJBI(Java Business Integration)の下で可能になると説明している。

 GlassFish V2は、Sunブランドで提供されるアプリケーション・サーバ「Sun Java System Application Server 9.1」のベースになる予定だ。Sunでは、4ソケットに対応する同サーバの年間サブスクリプション料金を、従来よりもおよそ75%引き下げて4,500ドルに設定するという。

 GlassFish V2がJava EE 5のリファレンス・インプリメンテーションとしての役割を担っていることから、GlassFishの開発コミュニティには、アプリケーション・サーバ分野でのSunのライバルであるJBossやBEA Systemsなども加わっている。

 調査会社バートン・グループのアナリスト、ジョー・ニスキ氏はGlassFishについて、市販のJava EEアプリケーション・サーバ製品と同等の機能や拡張性を備えていると評価したうえで、新版となるV2の見どころとしてパフォーマンスとクラスタリングを挙げている。

 Sunは17日、オープンソースの統合開発環境(IDE)である「NetBeans 6.0」のベータ版もリリースした。

 NetBeans 6.0は、Javaだけでなく、JavaScriptやRubyなどのスクリプト言語に対応、新たなディベロッパーの獲得を目指している。Sunの NetBeansエバンジェリスト、グレッグ・スポーラー氏は、「これまでまったく接触のなかったディベロッパーたちと実質的な対話の機会を持つことができるという点で、Rubyのサポートは非常に重要だ。われわれの“テント”には、Javaディベロッパー以外の人々も受け入れる余地がある」と語った。

 NetBeans 6.0に搭載されているGUI作成ツール「Matisse」は、デスクトップ・アプリケーション向けのライブラリであるJava Swingや、バックエンドの変更に対応してユーザー・インタフェース・コントロールを変更するBeans Bindingをサポートしている。

 さらにバージョン管理システム「Subversion」と統合されている点も、バージョン6.0の特徴の1つとなっている。

 NetBeans 6.0の正式版リリースは今年末の予定だ。バージョン6.0は、Sun独自のオープンソース・ライセンスであるCDDL(Common Development and Distribution License)ではなく、GNU GPLv2の下で提供される可能性もある。

(ポール・クリル/InfoWorld オンライン米国版)

米国Sun Microsystems
http://www.sun.com/

提供:Computerworld.jp