YouTube、広告収入の一部を個人の投稿者に配分――人気の高いコンテンツ・クリエーターを囲い込み

 米国YouTubeは5月3日、ビデオ投稿サイト「YouTube」の広告収入を個人のコンテンツ・クリエーターに配分することを明らかにした。人気の高いビデオを提供するクリエーターが対象で、彼らが競合サイトに流れるのを防ぐねらいがあるようだ。

 同日付けのYouTubeのブログには、「従来、あなたが作るコンテンツと、YouTubeのコンテンツ・パートナーが作るコンテンツの間には違いがあった」と書かれている。ここでのコンテンツ・パートナーとはNBA(米国プロバスケットボール協会)やBBC(イギリス放送協会)などを指しており、YouTubeはこれらのパートナーと広告収入を分け合っている。

 これに対し、コンテンツ・パートナー以外のビデオ投稿者は、これまで広告収入を分配する対象ではなかった。

 こうした差異を解消するため、YouTubeでは、LisaNova、renetto、HappySlip、smosh、valsartdiaryといった通称名で呼ばれている一部の人気投稿者をパートナーに選定。NBAなどプロのコンテンツ・パートナーと同じ収益/プロモーションの機会を共有できるようにした。

 パートナーの選定は人気度に基づいて行われた。YouTubeでは、彼らは視聴者を着実に引き付け、そのコンテンツは広告主にとって魅力的だと説明している。

 同ブログによると、パートナーに選定されたクリエーターの側では、広告を配置するビデオを選定することができる。なお、クリエーターに提供される広告収入の分配比率については、YouTubeは明らかにしていない。また、同社のパートナーに選定されたクリエーターの数も現時点では不明だ。

 こうした広告収入分配プログラムはYouTubeが選定したクリエーターのみを対象としたものだが、他のクリエーターもYouTubeに連絡して同プログラムに関心があることを表明できる。

 同ブログにコメントを寄せた一部のYouTubeファンは、限られた人数のコンテンツ・クリエーターしか参加するよう誘われなかったことに不満を訴えた。しかし、多くの投稿者はこのプログラムを好意的に受け取っているようだ。同プログラムへの関心を表明するための書式見本をどうやって探せばよいかを尋ねる投稿者も多い。

 YouTubeの共同設立者であるチャッド・ハーレー氏は、今年1月にYouTubeに投稿されたビデオの中で、コンテンツ・クリエーターと収益を分け合えるようにする仕組みについて検討中だと述べている。同氏によると、人気の高いクリエーターが競合サイトに引き抜かれるのを防ぐため、まずは強固なユーザー基盤を構築する方針だという。

(ナンシー・ゴーリング/IDG News Service シアトル支局)

米国YouTube
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提供:Computerworld.jp