openSUSEがMicrosoftとNovellの提携に関する公開質疑をIRCで実施
1時間に及んだこのセッション(IRCの全ログはこちら)の進行役は、Henne Vogelsang氏が務めた。参加者の発言権は(その人の論述力がこのチャンネル上の全員にわかるように)1人ずつ、それも質問のときにだけ与えられた。司会進行が必要だったのは、その他のディストリビューションに携わる人物も含めて参加者が200人もいたためである。
以下に示すのは、非常に興味深い質疑応答の一部に若干編集を加えたものだ。なお、セッション中に回答のなかった質問は、そのままopenSUSEのWikiに掲載されることになっている。
質問:SUSEの技術スタッフが最後まで誰も今回の提携を知らなかったのはなぜですか?
Andreas Jaeger氏:私は当日の火曜日に前もって説明を受ける予定でしたが、そのときは急用で時間がとれませんでした。 他の2人は説明を受けていましたが、私がようやく説明を受けたのは発表のほんの数時間前のことです。
Nat Friedman氏:私はMicrosoftとの交渉のことを何ヶ月も前から知っていた。ただし、大企業どうしが会合を開くことはよくあるので、その交渉のねらいがどこにあるのかはわからなかった。
質問:つまり、技術関係者は誰一人この提携に関与せず、その成立にも協力しなかったということですか。 お偉方から「おい、提携したぞ」と知らせを受けただけだと?
Nat Friedman氏:(Microsoft本社のある)レドモンドでの交渉の場には技術系の者はいなかったが、情報の提供を求められたり、提携のことを知らされたりはした。一部の者は、発表の1週間ほど前に提携を知らされていた。
一般に、今回のような大がかりな提携では関与する人の数を少なく抑えようとする。そうしないとすぐに業界中にその話が行き渡ってしまう。だから、この一件についてメーリングリストでオープンな議論がされなかったことに驚いてはいない :-)
質問: Shuttleworth氏からの公開書簡の内容はいかがでしたか。楽しめましたか?
Andreas Jaeger氏:とんでもない。私の返信内容かブログをご覧になればおわかりになるだろう。彼が提携に反対するのはわかるが、これはさらなる動きへの第一歩だと私は考えている。
質問:GPLv3に関するFSF(フリーソフトウェア財団)の声明についてはどう思いますか?
Nat Friedman氏:GPLv3の策定は年初から進められている。 FSFとEben Moglen氏、それにSoftware Freedom Law Center(SFLC)は、4つに分かれた委員会と共にプロセスをまとめ、GPLv3に何が必要かについて議論している。
コミッティー(委員会)Aは大型のオープンソースプロジェクト、Bは大企業、Cはユーザと中小企業、Dは組織に属さない個人と「その他」の人々で組織されている。コミッティーAには、Sambaなどが参加している。Novellの場合、AとBの双方のコミッティーに代表者がいるので、我々はFSFやGPLv3について長い間、Eben(Moglen氏)と話し合いを続けている。
彼らがGPLv3の起草をオープンなプロセスで行うと公約したことを我々は喜んでおり、GPLv3が多くの企業や個人、プロジェクトに受け入れられることになればなお良い、と考えている。
このところEbenやRichard(Stallman氏)をはじめとする人々が、NovellとMicrosoftの提携はGPLv3によって「無効」になる、という発言をいくつか行なっている。そうすることで彼らが何をねらっているのか、我々にはよくわからない。というのは、これまでのそうした発言の内容がただ漠然としているからだ。彼らがGPLv3で提案しているような表現をしてくれれば、きっと我々も関心を寄せるだろう。
また、彼らがGPLv3について言及していることに我々は満足している。なぜならそのことは、NovellとMicrosoftが交わした契約とGPLv2との間には一切の矛盾がないと彼らが考えていることを示しているからだ。我々はウォルサムの本社オフィスにEbenを招き、Microsoftとの契約の全体にすでに目を通してもらっている。
MicrosoftがNovellの顧客に対して約束した内容を知りたければ、microsoft.com/interopで確認できる。
質問:Microsoftとの提携についてのこうした騒動が発端となり、提携の内容に何らかの変更が加えられることはありませんか?
Nat Friedman氏:それはまさしく、我々がMicrosoftに検討を要請した点の1つだ。交渉中に我々は、個人の開発者を絶対に特許権侵害で訴えないことを約束するようMicrosoftに求めた。彼らがあっさりとこの約束に応じてくれたのは、嬉しい驚きだった。
MicrosoftのWebサイトから参照できる「個人の非商用」利用に関する協定は、こうした議論から生まれたものだ。個人的には、この契約の記述内容には足りない部分があり、対象となる人々が十分にカバーされていないと考えている。Microsoftがそこまでして「我々は個人ユーザを訴えない」と言っていることは大きな躍進だと思う。しかも、彼らはそのことを法的拘束力のある形で表明しているのだ。
「Microsoftはこれまで決して個人を相手に訴訟を起こそうとしたことはない」と言う者がいるが、15歳の未成年や95歳の老婆を訴えている米国のRIAA(全米レコード協会)について少し調べてみれば、実情がわかるはずだ。だから、Microsoftがこうしたやり方の仕切り直しをしたことを我々は喜んでいる。
だがこれまでのところ、果たしてその通りに実行されるかどうか怪しいため、我々は契約内容の更新を要請し、Microsoft側がその作業を進めているところだ。今週、草案が送られてくることになっている。Microsoftの担当者にJason Matusowという人物がいるので、彼のブログでこうした契約について公式なコメントを求めるとよいだろう。
質問:Novellは、Linuxによる一切の特許権侵害を認めていないと主張しています。ところが、今回の提携でNovellは自らが出荷するLinuxディストリビューションの売り上げの一部をMicrosoftに支払うことになります。 いったい何に対する支払いなのですか?
Nat Friedman氏:Microsoftが我々の顧客を訴えないと約束してくれたことへの対価を我々は支払っている。
質問:「どんな問題」に対して訴訟が起こらないと言っているのですか? あなた方が存在を認めていない問題に対してですか?
Nat Friedman氏:我々は、LinuxとWindowsがうまく共存できるようにMicrosoftとの協定をまとめた。皆さんご存知の通り、Microsoftはここ10年、Linuxには知的財産権上の問題がある、などとLinuxについて否定的な発言を行ってきた。我々にとっては、相互運用性の問題でMicrosoftと提携することには意味がなかったのだが、我々の顧客には、依然としてこの特許絡みの暗雲がつきまとっていた。だから、Microsoftは我々に特許での提携も持ちかけたのだ。それで、我々はMicrosoftの顧客に対して訴訟を起こさないと約束し、Microsoftも我々の顧客に同じことを約束している。彼らは我々の約束に対して支払い、我々は彼らの約束に対して支払う。Microsoftの主張が事実に即したものかどうかは問題ではない。人々はお互いにどのようにでも訴えを起こすことができるが、特許訴訟から身を守るには莫大な金がかかるものだ。
質問:Microsoftによる「約束」の価値は、どのように提示したのですか?
Nat Friedman氏:担当者らがその対価をどう決めたのか、私にはわからない。一般的に、特許の問題では次の2点を吟味する。
1. 特許保有者が持つ特許
2. 特許に対する防衛または特許の権利範囲を必要とする側の事業
普通、特許絡みの金額は、これら2つの価値の関数として求められる。たとえば、特許が1件しかなく、その特許権を侵害したとしてX社を訴えた場合を考えよう。特許を侵害している製品によってX社が年間10億ドルの利益を得ていたとすると、たとえ特許を1件しか持っていなくてもX社から高額を搾り取ることができるわけだ。
だから私が思うに、交渉チームはMicrosoftとNovellの利益を検討して今回の契約をまとめたのだろう。両社の支払い額を見れば、かなりNovellに有利な内容になっていることがわかる。Microsoftが我々に支払う額は、我々が支払う額を大きく上回っている。
特許の数はNovellの数百件に対し、Microsoftは数千件だ。つまり、特許の質と両社のこれまでの利益が考慮されたことがわかる。
質問:Novellの技術者の多くは、Microsoftとの提携については不気味なほど沈黙していますが、これは、反対の意を表していると解釈してよいのでしょうか? あるいは、もっと直接的にお訊きしますが、今回の提携は正しかったと思いますか?
Andreas Jaeger氏:私は率直に意見を述べたくて、発表後にIRCチャンネルに参加しました。 Webキャストを聞き、自分のブログを書き始め、そして眠りに就きました。翌朝には、Microsoftの契約内容が出て困惑しました。他の人たちも同じ気持ちだったのでしょう。そこで、私たちは組織内で話し合いの場を持ったわけです。
Nat Friedman氏:この提携に対する人々の反応は大げさ過ぎるのではないかと思う。「Microsoft」と「特許」という言葉が絡んでいるからだろう。ここで、今回起きたいくつかの大事な点を整理してみよう。
1. LinuxはITの重要な一翼を担っていること、ユーザはLinuxを必要としていることをNovellがMicrosoftに認めさせた。これまでの状況からすると、これは大きな前進だ。少し前までは「Linuxは諸悪の根源だ」などと言われていたことを思い出してもらいたい。
2. Novellが自らにとって有利な協定を結んだ。これによってNovellは多額の収入を得ることになり、我々はその一部をopenSUSEの開発やLinuxの発展に投資できるようになる。
3. WindowsとLinuxの相互運用性が改善される。我々は新しい仮想化技術のコード、新たなOpen XMLコードを書き、そのすべてをオープンソースとしてリリースするつもりだ。すでに我々はオープンソースにかなり貢献しているが、これまで以上の貢献が可能になったわけだ。
続いて、皆さんの懸念を晴らしていこう。
4. 今回の提携は誰からも何も奪わない。Novellの顧客を訴えないと約束したからといって、それ以外の人々を訴えるとMicrosoftが約束しているわけではない。Microsoftは法律面で長けていて信用ならないという暗黙の認識があるので、皆さんがこの件に関して「否定的な部分」に目を向けたがる気持ちはわかる。だが事実、何も奪われてはいないし、Microsoft側に有利な判例も存在しない。この提携内容を目にしただけで「Ballmerさん(MicrosoftのCEO)、LinuxはMicrosoftの特許をすべて侵害していますよ」などと言い出す裁判官もいないだろう。だから、NovellがLinuxコミュニティに害を与えたという批判の声はどれも事実に反する、と私は考えている。
5. 今回の提携はGPLv2に違反していない。Eben Moglen氏にMicrosoftとの協定の内容を読んでもらったが、彼はGPLv2への違反については一言も言わなかった。どこにも違反はないとEbenが考えていることは明らかだ。むしろ彼とRichardは、これまで賛否両論があって我々も支援しているGPLv3を採用するよう働きかけることにコミュニティの力を使っている。
6. Ballmer氏は、知的財産権の問題で消費者の恐れ、不安、疑念を煽り、何年もLinuxを妨害してきた。この面に対しては、今回の提携が何の変化ももたらさなかったことは明らかだ。先日、Ron(Hovsepian氏、NovellのCEO)がBallmer氏の発言の矛盾をつくすばらしい書状を公開した。こうして最終的に、MicrosoftはLinuxを認めてNovellと共に相互運用性の改善を図り、NovellはLinuxにこれまで以上の資金を提供することになる。法的な観点から見て、何も失われてはいない。
「お前たちはコミュニティを分断しているのだ!」と言う人々がいるが、今回の一件にこだわり過ぎてNovellを遠ざけようとする人々こそ、コミュニティを分断しているように私には思える。
質問:先ほどopenSUSEへの資金の再投資について触れていましたが、それを裏付けるものが何かありますか? 我々が得るものは何でしょうか。報酬を得るエンジニアが増えるのでしょうか?
Nat Friedman氏:「どうかそのまま聞いてもらいたい」。実は、そうしたいと思っているよ :-)
Andreas Jaeger氏:だからといって報酬の額が増えるわけではないと思いますがね ;-)
質問:GPLv3に対してNovellはどんなスタンスをとっていますか? NovellはGPLv3を採用するつもりですか?
Nat Friedman氏:GPLv3はまだ完成されていないし、我々はまだ最終版に近いドラフトを見ていない。だから何とも申し上げられないが、GPLv3を採用しようとしているプロジェクトもあれば、たとえばglibcのように、GPLv3に対し我々が行っていることに非常に批判的なプロジェクトもある。
GPLv2には非常に満足しているので、おそらくカーネルではGPLv2にこだわろうとするだろう。また、MonoクラスライブラリやXなど、X11のライセンスに従うコードもある。
Adrian L氏:NovellがGPLv3を好ましく思わない理由は他の企業でも通用するので、現状のままでは数多くの企業がGPLv3を利用しないのではないかと思います。
Nat Friedman氏:なかなかいい指摘だ。もう1つ考慮すべきことは、他の企業が用意しつつある補償の内容だ。たとえばRed HatとOracleの両社は、顧客に対して特許に関する補償を行うと公言している。Aという顧客が両企業のどちらかからLinuxを購入した場合、こうした企業は、関連するどんな特許訴訟にも介入し、顧客Aを守ることを約束している。しかし、この約束の対象は両企業の顧客に限られている。そのため、Aが購入したLinuxソフトウェアのコピーを作成し、Red HatにもOracleにも対価を支払っていない顧客Bに譲渡した場合、この約束は顧客Bには適用されない。
こうした概念や形式は、MicrosoftがNovellの顧客に対して行った約束に似ている。だからGPLv3は、こうしたすべてのLinux企業による既存のビジネス形式と共存できるものにする必要があるだろう。確か、Hewlett-Packardもこうした補償を提供しているはずだ。
質問: 今回の提携からオープンソースコミュニティ全体が受けるメリットはありますか?
Nat Friedman氏:いくつかある。我々は、相互運用性に関わるいくつかの異なる領域でMicrosoftとの連携を進めている。 OpenOffice.orgにOpen XMLをサポートする機能を追加し、Veridian上で最適化されたSLESを、Xen上で最適化されたVistaをそれぞれ実行するために仮想化技術の隙間を埋めるコンポーネントを構築することになるだろう。またWS-Managementにも協力して取り組む予定だ。このコード全体はオープンソースとしてリリースされるため、誰でもコードを入手して利用することができる。
ところで、こうした過程において、我々はMicrosoftが特許化しているコードを我々の成果物に加えるつもりはない。この点に対する我々の方針は変わらない。結局、Microsoftがそうしたコードを追加する権利を我々に与えなかったのは、そのためなのだ!
それから、MicrosoftがLinuxを認めるという点も素晴らしいと思う。我々は、Microsoftから引き出した前述の個別契約を改善し、世界中のハッカー全員に自分たちが訴えられないことをわかってもらえるようにしたいと考えている。
質問:今回の提携は、NovellおよびSUSEはオープンソースコミュニティから脱却しようとしている、という認識を生んだと思います。ユーザが他のディストリビューションに乗り換えるのを防ぐために、Novellはどんな対策をしますか?
Nat Friedman氏:我々がオープンソースのコミュニティから脱却するなんてとんでもない! 数多くの誤解があるようなので、今この場で行なっているように、そうした誤解を一掃する必要がありそうだ。
また、人々はその良さや機能のすばらしさを理由に、Linuxディストリビューションを選んでくれるものと思っている。我々は、SUSEを地球上で最も優れたLinuxディストリビューションにするために努力を続けるつもりだ :-)
質問:Microsoftは今回の提携から何を得るのでしょうか? また、Microsoftが約束を守らなかった場合はどうなりますか?
Nat Friedman氏:公の場で彼らをからかおうと言うのだね。:-)
この提携で契約違反に関する条項がどうなっているか、はっきりとはわからないが、通常はきわめて深刻な事態になる。また、Microsoftが提示している協定の内容は公開されており、今すぐmicrosoft.com/interopに行って読むことができる。そこにあるのは、MicrosoftがNovelの全顧客に対して行おうとしている約束であり、Microsoftはそれらに法的拘束力を持たせる意向だ。
Microsoftには必ず隙のない契約をまとめ上げる天才的な人物がいると誰しも思っているが、業界の歴史はこうした認識とは別の面も存在することを物語っている。MicrosoftがLindowsを商標権の侵害で訴えた事件をご記憶だろうか。この訴訟を担当した裁判官は最終的にWindowsの商標権そのものに疑問を抱くに至り、米国でMicrosoftは基本的に敗れ、結局Lindowsに2,400万ドルという巨額の和解金を支払うことになった。一方のLindowsは名前を変えるだけで済んだ。この取引の全容は内密にされることになっていたが、その後Lindows(現在のLinspire)がSEC(証券取引委員会)から金融訴訟のデータとしてその内容を公開するように命じられたことで、公表されることになった。
つまり、Microsoftが小さな企業を訴え、その結果2,400万ドルを支払ったうえ、そのことを秘密にできず、Windowsの商標権自体が疑問視されている、という事例があるわけだ。これはとても天才的人物の手腕とは思えない。
これで、皆さんの被害妄想的な考え方を覆せただろう :-)
我々はMicrosoftとパートナーを組むことを喜んでおり、彼らがLinuxとWindowsの相互運用性をより良く機能させるために我々との連携を望んでいることを大変嬉しく思っている。
質問:Shuttleworth氏が目論んだように、openSUSE開発者たちが他のディストリビューションに移ってしまうという不安はありませんか? またその答えの理由も教えてください。
Adrian L氏:Shuttleworth氏の件は心配していません。というのも、openSUSEがGPLに違反しているかもしれないと不安がっている人々は、実際にそうしようとしているディストリビューションに乗り換えようとは思わないでしょうから ;)
もちろん、種々の意思決定を理由にメンバーがよそに移るというリスクは常にありますが、反対にそうした理由でよそにいた人々がopenSUSEに移ってくる可能性も常にあるわけです。
Nat Friedman氏:それに、openSUSEが優れたディストリビューションであることは明らかだ。我々はUbuntuが向こう側にいることも喜んでいる。もっと嬉しいのは、我々すべてのLinuxディストリビューションにとって十分な取り分が存在していることだ。
Ubuntuに関する質問のついでに言っておきたいのだが、一番良いのはLinuxディストリビューションどうしでユーザを取り合うのではなく、Microsoftからユーザを奪うことに我々すべてのディストリビュータが注力することだ、と私は考えている。
また、Microsoftには、オペレーティングシステムをまだ自分で選んだことさえないユーザが数十億人もいるのだから、我々Linuxの全ディストリビューションに対しても十分な取り分が残されていると言える。
質問:「もし」この提携がGPLv3に違反することになったら、Novelはディストリビューションのリリースに必要なライブラリやコンポーネント(glibcやgccなど)の最終GPLv2バージョンをすべてフォークさせるつもりでしょうか?
Nat Friedman氏:言うまでもないが、我々はglibcやgccなどをフォークさせたり、並行して複数のバージョンをメンテナンスしたりするのに時間を費やしたくはない。だが、まだ存在しないGPLv3について議論することは実に難しい。
またEbenやRichardからこういった不吉で脅迫的な発言が出ているが、GPLv3がどんな形をとるのか、我々にはわからない。私が彼らの発言を聞いた限り、彼らが威嚇しているのはNovellというよりMicrosoftのほうだった。
質問:「非商用と商用」という開発者の区別は、Google Summer of Codeの学生として受講期間中の活動で明らかに収入を得て、現在も時間のあるときにそれぞれのプロジェクトへの貢献を続けている人々に対してはどのように影響しますか?
Nat Friedman氏:そこまで明確には定められていない。その件は今回の個別契約の限界を示す一例だろう。先に述べたように、我々はこうした契約の記述方法には満足していない。Microsoft側もこの個別契約の効力は不十分だと認めている。Googleで「Jason Matusow covenant」と検索すれば、この件についてのMicrosoft担当者のブログが見つかるだろう。我々はMicrosoftと共に、本当に有益なものになるようにこの契約の改善を進めている。
質問:あなた方が受け取ったコミュニティからの反響はある程度「まとまっている」と思いますか? だとすると、どんな理由でそうなっているのでしょうか?
Nat Friedman氏:きわめてまとまりを欠いたものだと思っている。さまざまな人々が異なる意見を表明している。「なんてことだ! よりによってMicrosoftと提携とは!」という反応があれば「Microsoftとの提携はすばらしい! だがLinuxが特許を侵害していることを認めたと言うのか!」という反応もある。さらには「Microsoftとの提携は問題ない。ソフトウェアのあらゆる部分が特許を侵害しているのだから。しかし、この契約内容はまずい!」という反応まである。このように、とてもまとまりがあるとは思えない。