SCO対IBM訴訟──Microsoftの関与を示唆する申立書が提出

 今年10月8日、米SCO Groupと米IBMの間でかねてから続いているLinuxの特許を巡る争いに新たな動きがあった。投資会社ベイスター・キャピタルによるSCOへの投資支援に米Microsoftが同意していたことを示唆する文書をIBMが裁判所に提出した。

 ベイスターの幹部は、これまでMicrosoftがベイスターをSCOに紹介したと語っていた。しかし、同社の経営幹部であるラリー・ゴールドファーブ氏は、ユタ州連邦地裁に提出された申立書のなかで、Microsoftの関与がそれだけではなかったことを明らかにした。

 同申立書によると、Microsoftのコーポレート・ディベロップメント/戦略担当シニア・バイスプレジデントである幹部(申立書にはミスター・エマーソンとだけ書かれている)は、CSOに対する5,000万ドルの投資のうちベイスターが負担する部分を同社が“保証”すると約束したという。ゴールドファーブ氏は、ベイスターが投資を行ったあと、Microsoftから折り返しの電話がかかってこなくなり、保証を約束した幹部は解任された可能性があるとしている。同社は最終的に購入した株をSCOに売却し、損失を計上。SCOの資本回転率が高いうえ、製品の将来性にも疑問があることから株の売却を決断したという。

 Microsoftに対して10月9日、この件に関してコメントを求めたが、回答は得られなかった。同社の広報担当者は、ウォール・ストリートジャーナルのオンライン版のなかで、ベイスターに対する投資の保証などは一切行っていないと説明している。

 Microsoftはこれまで、ベイスターの投資にかかわった兆候がないかどうか精査してきた。仮にこのような動きがあった場合、同社にとって脅威になっているLinuxの発展を阻害するため、IBMに対するSCOの訴訟を同社が支援したと受け取られかねないからだ。

 業界アナリストも、Microsoftがベイスターに対して投資の保証を行ったとすれば、非常にリスクの高い行動と指摘する。市場調査会社オーブムのアナリスト、ガリー・バーネット氏は、「Microsoftが大規模な調査を行っているのを見る限り、同社が何らかの陰謀に関与した可能性は非常に低いと思う。メリットがあまり大きくないうえ、デメリットが大きいからだ」と語る。

 IBMとSCOの法廷闘争は、SCOが所有権を主張するソースコードをベースにしたオープンソース・ソフトウェアをIBMが提供しているとして同社を訴えた2003年に始まった。その後、SCOは、Linuxを使っている企業も特許侵害で訴える構えを見せていた。しかし、今年7月には、SCO側が特許侵害の詳細な内容を示さなかったとして、同社から出されていた200件近い訴えを退ける決定が下された。

 なお、申立書のPDFファイルは、GroklawのWebサイトにポストされている。 (ナンシー・ゴーリング/IDG News Service ダブリン支局)

提供:Computerworld.jp