SCO、連邦法に基づき破産保護を申請――UNIX著作権裁判での敗訴から1カ月、業務は継続へ

 米国SCOグループは先週末、連邦破産法第11章に基づく破産保護手続きを申請した。同社が知的所有権を主張しているUNIXの実態をめぐり、NovellやIBMなどの企業と争っていた裁判で複数の決定的な敗訴判決を受けてから、わずか1カ月後のことである。

 ユタ州に本拠を置くSCOは9月14日、自社と子会社であるSCOオペレーションズの更正に対する自己申し立てを行ったと発表した。

 同社が14日に出したプレス・リリースには、「SCOグループの取締役会は、連邦破産法第11章の会社更生を申し立てることが、SCOおよび子会社、顧客、株主、社員の長期的な利益にとって最善の選択肢であるという結論に達した」と記されている。

 SCOは、破産手続き中も通常通り業務を行うとしている。

 SCOの社長兼CEO、ダール・マクブライド氏は、「SCO製品やサポート、サービスを利用している顧客およびパートナーが、引き続き重要なビジネス業務を遂行できるようにしたいと考えている。連邦破産法第11章の会社更生手続きに従えば、今後の指針作りに集中する間も、当社の資産を保護していくことが可能になる」と、声明の中で述べている。

 SCOは週明けの9月17日、同社が過去数年間にわたり徴収してきたUNIXライセンス料金から、Novellに支払う賠償金の額を決定する審理に臨んだ。

 調査会社クズネツキー・グループのアナリスト、ダン・クズネツキー氏は、SCOの破産申請を想定範囲内の出来事だと話している。

 SCOは2003年3月、IBMが同社のUNIXコードをLinuxオープンソース・プロジェクトに不正提供したと主張、賠償(現在の賠償請求額は50億ドルに上っている)を求める裁判を起こした。クズネツキー氏によれば、IBMが一種の口止め料として多額の金を支払うとSCOは信じていたが、IBMはSCOの予想を裏切り反撃に転じたという。

 調査会社IDCのアナリスト、アル・ギレン氏も、SCOが法廷闘争を開始した4年前から下降の一途をたどっている同社の財政状態を見るに、14日の破産申請は驚くに値しないと語っている。同氏はまた、SCOが最近立ち上げたモバイル・ソフトウェアへの取り組みに破産申請がどのような影響を及ぼすか、見極める必要があると述べている。

 SCOとNovellは2003年以降、UNIXおよびUnixWareの法的な所有権をめぐり争ってきた。SCOは同時期に、IBMが同社のUNIXコードをLinuxオープンソース・プロジェクトに無許可で提供したとして、現在では賠償金額が50億ドルにまで膨れあがった訴訟を提起した。SCOがNovellを直接訴えたのは2004年で、NovellもSCOの提訴に反ばくし、反訴要求を出している。

 ソルトレイクシティにある米国連邦地方裁判所のデイル・A・キンボール裁判官は今年8月、UNIXおよびUnixWareの著作権はNovellにあるとする判決を下した。この判決を受け、17日から始まった非陪審審理では、SCOがSun MicrosystemsおよびMicrosoftからUNIXライセンス料金を徴収したことに関して、Novellに支払う賠償金の額が決められる。

 9月初頭にComputerworldオンライン米国版の取材に応じたSCOのマクブライド氏は、先日の敗北に屈することなく、これからも法廷闘争を続行すると話していた。

 SCO対IBMの裁判は2008年以降に始まる予定で、SCO対Novell訴訟の行方に影響を受けると考えられている。

(トッド・ワイス/Computerworld オンライン米国版)

米国SCOグループ
http://www.sco.com/

提供:Computerworld.jp