FSFがStallman氏の取締役復帰について説明、Stallman氏は自分は「ソーシャルスキルがない」とコメント

 非営利団体のFree Software Foundation(FSF)は4月12日、Richard Stallman(RMS)氏が取締役として復職することについての説明を発表した。Stallman氏も声明文を出し、「FSFではなく、自分を批判してほしい」と記している。

 FSFを創始したStallman氏は、2019年9月にプレジデントと取締役会を辞任したが、3月のイベント「LibrePlanet」中、取締役として復帰することを自身の口から発表した。これを受け、フリー/オープンソフトウェア界では大きな議論が起こっている。多くは、Stallman氏の復帰に反対の意見だが、支持する署名もあった。執筆時、Stallman氏を支持する署名には6261人、反対する署名には3012人が名を連ねている。また、FSFからは執行ディレクターを務めていたJohn Sullivan氏をはじめ、3人の幹部が退任を明らかにしている。

 Stallman氏がFSFを退任した直接の理由は、児童売春の罪に問われていたJeffrey Epstein氏(故人)事件の一部として、マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授(故人)がEpstein氏の斡旋を受けて性的関係を持ったとする報道について、Stallman氏が当時17歳だった女性が自発的に行ったのではないかと記したことが論議を呼んだため。

 FSFはStallman氏復帰という取締役の投票結果について、Stallman氏の「知恵」を理由に挙げ、「(Stallman氏の)歴史的、法的、技術的な識見は代替不可能で、他に匹敵するものがない。技術が基本的人権を強化するものにも損なうものにもなりうることについて、深いレベルで配慮できる(人物)」としている。「FSFが今後ミッションを遂行し、ソフトウェアのフリーダムが直面する課題を乗り越えるにあたって、Stallman氏の視点が重要だ」(FSFの発表文より)。

 一方で、選挙の結果を知らせる方法がよくなかったことを認め、「LibrePlanetでRMS自身が発表したことは、FSFスタッフ、イベントのスピーカー、展示社にとって寝耳に水だった」と記している。そして、この数週間、取締役会は透明性、取締役候補の特定への正式なプロセスの確立などガバナンス関連の変更を進めてきたと報告している。

 同日、Stallman氏もFSFのWebサイト上で声明文を出し、10代の頃から疎外感を感じていたと明かしている「会話の言葉は理解できるが、なぜそう言うのかは汲み取れなかった」と振り返っている。「ソーシャルスキルがないため、カッとなってしまうことがある。それに対応できる人もいれば、傷つく人もいる。全ての人に謝罪したい」とStallman氏、「批判の矛先はFSFではなく、自分に向けてほしい」と続けている。なお、Minsky氏を擁護した発言について、「驚いたことに、一部の人は私の書いた文章からEpsteinを擁護していると思ったようだ。以前にも書いたが、Epsteinは連続強姦者で、罰を受けてしかるべきだ」としている。

 最後にStallman氏は、「今回のことで、傷ついた人に優しくすることを学んだ。今後、他の状況でも人に優しくなるのに繋がるだろう。そう願っている」と記している。

Free Software Foundation(FSF)
https://www.fsf.org/