オランダElastic、クラウド事業者からの投資保護を目的にElasticsearchとKibanaをデュアルライセンスへ

 「Elastic Stack」などで知られるオランダElasticは1月15日、オープンソースライセンスの変更を発表した。対象となるのは「Elasticsearch」と「Kibana」のソースコード。これまでのApache License 2から独自ライセンスとSSPL(Server Side Public License)のデュアルライセンス方式を採用する。

 デュアルライセンス方式となるのは、Elastic Stackを構成する4製品(データ検索のElasticsearch、データ視覚化のKibana、データシッパー「Beats」、パイプライン「Logstash」)のうち、ElasticsearchとKibanaのソースコード。これまでのApache License 2に代わり、独自ライセンスElastic LicenseまたはSSPLのデュアルライセンスとなる。SSPLは米MongoDBが作成したライセンスで、「プログラムの機能や修正版をサードパーティにサービスとして提供する場合、Service Source Codeをネットワークダウンロード経由で全員に無償で、SSPLと同じ条件の下で公開しなければならない」といった内容を含む。

 ElasticまたはKibanaのユーザーはどちらかのライセンスを選択できる。デュアルライセンス方式への変更により、顧客やコミュニティはフリーかつオープンにコードにアクセスして使用し、改変し、再配布し、コラボレーションできると同時に、クラウド事業者が貢献することなくElasticsearchとKibanaをサービスとして提供するのを制限しつつ、フリーかつオープンな形でディストリビューションできると説明している。

 デュアルライセンス方式はメンテナンス中の全ブランチに適用され、次期7.11リリースの前に有効となる。3年前よりリリースはElastic Licenseを採用しており、今後もこの方針を継続する。Elasticによると、ほとんどのユーザーコミュニティはデフォルトのディストリビューションを無償で利用しており、ライセンス方針の変更による影響を受けないとしている。また、クラウド小お客や自社でマネージするソフトウェアを利用する顧客も影響はないとのこと。

 なお、SSPLはMongoDBがやはりクラウド事業者対策として作成したライセンスだが、Open Source Initiative(OSI)に提出したもののの承認を得られず、その後提出を撤回している。FedoraやDebianはSSPLへの懸念を理由に、MongoDBをディストリビューションから削除している。

オランダElastic
https://www.elastic.co/jp/
ライセンス変更に関するFAQ
https://www.elastic.co/jp/pricing/faq/licensing