Linuxカーネル5.5リリース、多くの新規ハードウェアサポートが追加される
Linus Torvalds氏は1月26日、Linuxカーネルの最新版「Linuxカーネル5.5」の公開を発表した。
Linuxカーネル5.5は2019年11月末に公開されたバージョン5.4に続く最新版。2020年初のリリースであり、7回のリリース候補(RC)公開を経ての正式版となった。
ファイルシステムBtrfsで、RAID1C34として2つのブロックグループプロファイルが加わった。これにより、RAID1で対応するコピーの数が2つから3、4に拡大される。また、新しいchaecksumsのサポートも加わり、暗号学的ハッシュもsha256とblake2bが加わった。並列処理も強化し、最大で80%の高速化が測れるという。
ファイルシステムではCIFSをルートファイルシステムとして使用できるようになった。マルチチャンネルのサポートも加わり、クライアントが複数のTCP接続上で同一のSMBセッションを共有できるという。
BPFも強化し、アセンブリコードの型チェックが可能になり、bpf追跡を安全かつ高速に行えるようになった。カーネルコードがオーバーヘッドなしにBPFプログラムを呼び出す「BPFトランポリン」も導入した。
バージョン5.1で導入した非同期I/O向けインターフェイスの「io_uring」では、ネットワーク化I/Oのサポートを強化したほか、CQリングのサイズをプロセッサが設定できるようになりオーバーフロー時のイベントドロップがなくなった。
軽量のユニットテストフレームワークKUnitが加わった。User Mode Linuxアーキテクチャを用いて、仮想マシンや特別なハードウェアなしに動くという。
ネットワーク側では、WiFi接続の品質を改善するため、通信時間をベースにキューの制限を設定できるようになった。遅延を制御するスケジュールアルゴリズムであるCoDelキューがワイヤレスドライバで効果的に動作するようにすることで実現した。
このほか、ハードウェア側ではRaspberry Pi 4のサポートが加わり、AMD Arcturus VegaベースのGPUやIntel Gen12 「Tiger Lake」など最新のGPUへの対応に向けた強化も加わっている。
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