「RHEL 7.7」公開、今後7系はメンテナンスフェイズへ

 米IBM傘下のRed Hatは8月6日(米国時間)、Linuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux 7.7」を発表した。バージョン7系は次回リリースよりメンテナンスフェイズとなり、本リリースは新規機能追加が行われる最後のリリースとなる。

 Red Hat Enterprise Linux(RHEL) 7.7は、2014年に最初のリリースが公開されたRHEL 7系の最新安定版。2018年10月にリリースされたRHEL 7.6に続くものとなる。なお、Red Hatは5月にRHEL 8をリリースしており、7.7のリリースをもってRHEL 7系はMaintenance Phase Iに入る。RHELは10年のライフサイクルを持ち、RHEL 7系は2024年までサポートされる。Maintenance Phase Iは運用環境向けのインフラの安定性とOSの信頼性にフォーカスしたもので、今後の7系リリースでは新機能の追加は行われず、安定性の維持が中心となる。

 RHEL 7.7では、オンプレミスとクラウドのハイブリッドクラウド環境における運用のための機能として、Red Hat Insightsを導入し、イメージビルダーをフルサポートした。

 Red Hat InsightsはRed Hatの専門知識をサービスとして提供するもので、ソフトウェアの安全性や設定問題を事前に検出、解析、解決するのを支援する。イメージビルダーはAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platformなど主要パブリッククラウドインフラ向けにクラウドイメージを簡単に構築できる機能。これらに加え、 Red Hat OpenShiftとRed Hat OpenStack Platform向けに、仮想スイッチングとNFV(Network Functions Virtualization)をネットワーク制御ハードウェアにオフロードすることで、ネットワーク性能の改善を図るという。

 開発者向けの機能強化は、クラウドネイティブアプリ開発の支援を強化するための強化が中心となる。RHELワークステーション上でRed Hatの分散型のコンテナツールキット(buildah、podman、skopeo)をフルサポートした。開発者はハイブリッドクラウドをまたいでコンテナ化されたアプリケーションを構築、運用、管理できるという。

 Python 3系への移行も進めており、3.6インタープリタや設定ツールが加わった。RHEL 8ではPython 3がデフォルトとなっている。

 このほか、Linuxカーネルのライブパッチkpatchもサポートした。動作中のカーネルに対して、リブートすることなくパッチを適用できる機能となる。

 セキュリティでは、先に報告されたIntel CPUの脆弱性「Zombieload」に対する修正などが加わっている。

Red Hat
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