Scientific Linux、開発終了へ。今後はCent OSへ移行

 フェルミ国立加速器研究所のScientific Linuxプロジェクトは4月22日、メーリングリストにて次期版となる「Scientific Linux 8」の開発は行わないことを発表した。フェルミ研究所は今後、学術向けコンピューティング環境として「CentOS 8」の実装を進めるという。

 Scientific Linuxは、「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」互換のオープンソースディストリビューション。RHELをベースに商標に関わるものを削除た上で学術研究用途で用いるパッケージを加えているのが特徴。フェルミ国立加速器研究所が欧州原子核研究機構(CERN)と協力して開発してきたもので、自らが学術や研究用途で使うためのLinuxディストリビューションとして開発をスタートしたという経緯がある。

 Scientific Linux開発中止の原因として、ほかの研究機関とのコラボレーションにあたって土台のコンピューティングプラットフォームを連携させるため、としている。フェルミ研究所は2018年9月、CERNとともに地下深部ニュートリノ実験(DUNE)と協力することを発表しているが、これら国際研究機関との協力の一部として、「土台のコンピューティングプラットフォームをこれらのラボや研究機関と統一させる」という。そこで、Scientific Linux 8を開発するのではなく「CentOS 8」を実装することにしたという。

 なお、RHEL 6ベースの「Scientific Linux 6(SL 6)」とRHEL 7ベースの「Scientific Linux 7(SL 7)」については、ライフサイクル通りにサポートを継続するとしている。6系では2018年7月に公開されたSL 6.10が、7系では2018年12月に公開されたSL 7.6が最新版となる。

Scientific Linux
https://www.scientificlinux.org/