Redisがモジュールのライセンスを変更、商用利用に制限

 オープンソースのNoSQLサーバー「Redis」を開発するRedis Labsが、アドオンモジュールのライセンスを変更した。パブリッククラウド事業者がRedisのマネージドサービスを提供していることに対し、制限を設ける狙いだ。

 Redisはインメモリのデータ構造ストアのオープンソースプロジェクト。ANSI Cで実装されており、LinuxやBSD系OS、macOSなどのPOSIX系システムをサポートする。データベースやキャッシュ、メッセージングなどの用途で利用されている。

 RedisはBSDライセンスの下で公開されており、「Redis Modules」とするRedisを土台とするアドオンは作成者が選択するライセンス(BSD、MIT Licenseなど)で公開されている。Redis Labsは今回、Redis Labsが開発する一部のRedisモジュールのライセンスを、AGPLから「Commons Clause」で修正したApache License 2.0に変更した。

 Commons Clauseは既存のオープンソースソフトウェアライセンスに条件を加えることで、開発者の権利の保護を図るもの。土台のオープンソースライセンスの条件はそのままに、商用での販売に制限を設けた。これにより、事実上サードパーティによる利用が難しくなる。ライセンス変更の対象となるRedisモジュールは、全文検索のRediSearch、暗号化ベースのクエリ言語を持つグラフデータベースRedis Graph、Redis向けJSONデータ型ReJSON、機械学習モデルサーバーRedis-ML、BloomフィルタのRebloomなど。コア部分は継続して制約が緩いBSDライセンスを採用する。

 Redis Labsは「クラウド事業者は、(もしあったとしても)ほとんどこれらのオープンソースプロジェクトに貢献していない。その代わりに、独占的な特徴を使ってオープンソースプロジェクトから数十万ドルの売り上げを得ている」と理由を記している。「このような行動はすでにオープンソースコミュニティに危害を与えており、支援してきた企業の中には破綻に追い込まれたところもある」と続けている。

 Amazon Web Services(AWS)、Microsoft AzureなどはRedisをマネージドサービスとして提供したり、Redisをベースとしたキャッシュサービスなども備える。Redis Labs自身はオープンソースプロジェクトへの出資とともに、有償のマネージドクラウドサービスやオンプレミス向けサービスを提供する。

Redis
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