Linuxカーネル4.14リリース、x86_64環境でのメモリ上限が拡大される

 Linus Torvalds氏が11月12日、「Linuxカーネル4.14」のリリースを発表した。長期サポート版(LTS)となり、新しいperfツールの導入、x86_64のメモリ上限の拡大など多数の機能が加わっている。

 Linux 4.14は、9月に公開されたLinux 4.13に続くもので、8回のリリース候補(RC)版を経ての正式版となる。長期サポート版として6年間のサポートが提供される(通常のサポート期間は2年間)。

 大きな変更点としては、まずx86_64ハードウェアにおけるメモリ上限が拡大された。以前はそれぞれ256TiB、64TiBが上限だったが、仮想アドレス空間で128PiB、物理アドレス空間で4PiBとなった。

 また、AMDの「EPYC」プロセッサ向け暗号化技術「AMD Secure Memory Encryption」のサポートが追加された。AMD Secure Processorのサポートも改善されている。プロセッサ関連ではこのほか、Intel Cache Quality Monitoringのコードを書き直し、Intel 5-level Pagingのサポートなども加わっている。

 問題発生時などに原因特定のために使われるカーネルトレースでは、「ORC」(Oops Rewind Capability)と呼ばれる新たな仕組みが導入された。

 ファイルシステムでは、BtrfsとSquashFSの両ファイルスシステムでzstd圧縮をサポートした。zstdは、より高速な圧縮を可能にするという圧縮技術。またBtrfs、Ext4、F2FSなどのファイルシステムで細かな機能強化が加わっている。

 ユーザープロセスとカーネル間のバッファ複製を防ぐメカニズムとして、MSG_ZEROCOPYフラグが加わった。10KB程度の書き込みで効果があるとしている。

 GPUでもAMD GPUの強化、Nouveau DRMのアップデートなどが加わったほか、将来のGPU向けに「Heterogeneous Memory Management」にも対応した。プロセスのアドレス空間をミラーリングし、システムメモリを任意のデバイスプロセスで利用できるようにする技術となる。

 SMPとの協調でクロック周波数管理のcpufreqも強化、タスクスケジューラーがリモートにあるCPU向けのcpufreqポリシーをアップデートするなどのことが可能になった。

 Raspberry Piサポートでは、HDMI CECを利用できるようになったほか、Raspberry Pi Zero W、Banana Piなどもサポートされた。

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