過去最大規模のリリースという「Linuxカーネル4.12」リリース

 Linus Torvalds氏は7月2日、Linuxカーネル4.12をリリースした。ブロックI/Oスケジューラーの導入、AMD Radeon RX Vegaの早期サポートなど、新機能が多数導入されている。

 Linuxカーネル4.12は5月初めに公開されたLiunxカーネル4.11に続く最新版カーネル。7回のリリース候補(RC)版を経ており、Torvalds氏は発表を告げるメーリングリストで「歴史上最大規模のリリースの1つ」と述べている。コミット数ではLTS(長期サポート)版と位置付けられていたバージョン4.9に次ぐレベルとしている。AMDの最新のGPU「AMD Radeon RX Vega」早期サポートのために新しいヘッダファイルが多数加わったことなどから、変更された個所も大きいとしている。

 Torvalds氏が言及しているAMD Vega早期サポートのほか、グラフィック関連ではIntelのAtomicモード設定がデフォルトでサポートされた。NVIDIAのGTX 1000(Pascal)シリーズGPUの初期サポートをはじめ、DRM(ダイレクト・レンダリング・マネージャ)で多数の強化が図られている。

 新しいI/OスケジューラーとしてBFQ(Budget Fair Queuing)とKyberを導入した。BFQではインタラクティブなアプリケーションの遅延を抑えられるため、デスクトップのレスポンス性が改善されるとしている。KyberはFacebookが開発したスケジューラーで、オーバヘッドの低いスケジューラーでマルチキューなどの高速なデバイス向けとしている。

 デバイスマッパーではDMキャッシュのアップデート、暗号化などが強化された。RAID5 IOの最適化によるハードディスクベースのRAID5/6の性能改善などmdRAIDも強化した。

 ファイルシステムでは、EXT4とXFSで新しいI/Oコントロール(ioctl)である「GETFSMAP」をサポートした。CIFSでは非同期I/Oを強化し、F2FSでもsmall discardがデフォルトで有効になるなどの最適化が加わった。

 ライブパッチでベーシックなper-task一貫性モデルを使うようになったほか、epoll、RCUロッキングなども強化した。仮想化、セキュリティ、トレーシングとperfツールなどでも多数の強化や機能が加わっている。

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