Linuxカーネル4.9リリース、Greybusのサポートや各種ドライバの強化などが行われる

 Linus Torvalds氏は12月11日、Linuxカーネルの最新版「Linux 4.9」の公開を発表した。「過去最大のリリース」と銘打っており、多数の機能が加わっている。

 Linux 4.9は、10月初めにリリースされたLinux 4.8に続く最新版。Torvalds氏は「コミットの数からみて過去最大のリリース」としている。変更が加わった行の数から見るとこれより大きなリリースはあったものの、それらは特別な問題があったためで、「4.9はとにかく大きい」と記している。

 新たに「Greybus」サブシステムが追加された。Greybusはハードウェアモジュール同士の通信を行う「UniPro(Unified Protocol」に向けたアプリケーションレベルのプロトコルで、Googleのモジュール型携帯電話開発プロジェクト「Project Ara」で開発が進められていたもの。Project Araは中止されたが、Greybusはほかの製品でも使われるという。

 グラフィック関連では、AMDのGPU「Southern Islands(GCN 1.0)」ファミリーがAMDGPU DRMドライバで実験的にサポートされた。これにより、AMDGPU DRMドライバはすべてのGCN GPUをサポートすることになる。このほか、Intel DRMも改善し、Raspberry Pi VC4ドライバ向けでは3Dレンダリング時のGPUとメモリのオーバーヘッドを削減するよう強化された。

 ファイルシステム関連では、Btrfs、XFS、F2FSでバグの修正や性能の強化が図られた。UBIFSではOverlayFSのサポートが加わった。FUSEでもPOSIX ACLのサポートが加わり、OverlayFS SELinuxもサポートした。

 不揮発性メモリ(NVDIMM)のサポートも強化された。PMEMサブディビジョンのサポートが加わり、単一のPMEMリージョンを複数の名前空間に分割できるようになったという。MD RAIDもバグの修正や機能強化が加わった。

 メモリ保護キーのサポートのほか、セキュリティではvmalloc_nodeにカーネルスタックを割り当てられるvmappedスタックのサポートも加わった。また、マルチスレッド技術KThreads(Kernel Threads)を改善し、Perfサブシステムも改善した。

 ハードウェア関連では、Intel Integrated Sensor Hub(ISH)のサポートが加わった。新しいARMベースのハードウェアも多数サポートする。

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