Linuxカーネル4.8リリース、ファイルシステムの改善や各種ハードウェアサポートの強化などが行われる

 Linus Torvalds氏は10月2日、Linuxカーネル4.8のリリースを発表した。Raspberry Pi 3 SoCやMicrosoft Surface 3のタッチ画面のサポートなどが加わっている。

 Linuxカーネル4.8は、7月末に公開されたLinuxカーネル4.7に続く最新版。8回のリリース候補(RC)版を経ての正式版となった。

 ファイルシステムでは、メモリを使った一時ファイルシステムであるtmpfsファイルシステムを強化した。また、Btrfs ENOSPC(データ領域不足)エラーも改善されている。XFSリバースマッピングもサポートしたほか、OrangeFSではカーネルサイドキャッシュング機能が加わった。EXT4の暗号化コード統一などの強化が加わった。

 セキュリティ関連ではユーザー空間との間でコピーされたオブジェクトの安全性改善や、CONFIG_RANDOMIZE_MEMORYとしてカーネルメモリセクション向けアドレス空間配置のランダム化(ASLR)機能の導入などがある。/dev/randomも強化し、/dev/urandom向けのChaCha20ベースのCRNGにより性能、効率性、拡張性を改善するという。

 ネットワーク関連では「IPv6 over Low power Wireless Personal Area Networks(6lowpan)」としてIPv6向けレイヤを導入した。IEEE802.15.4規格で使われている短いアドレスの処理などに利用できるという。IPv4上のMPLSのサポート、eXpress Data Path(XDGP)のサポートなどが加わったほか、Bluetooth、NFC、Infinibandなども強化し、アドホックネットワーク用ルーティングプロトコルB.A.T.M.A.N.(Better Approach To Mobile Adhoc Networking)、Virtual Routing and Forwarding(VRF)なども多数の改善が加わった。

 仮想化では、KVMでs390上でのネステッド仮想化のサポートなどが加わった。

 ハードウェア関連ではRaspberry Pi 3のBroadccom BCM2837 SoCをサポートしたほか、低消費電力ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)のLow-Power Idle(LPI)にも対応する。HDMI接続機器の制御を改善するHDMI CECフレームワークのサポートも実現した。MicrosoftのSurface 3のタッチ画面もサポートした。

 ドライバでも、新たにオーバークロックAMDグラフィックカード向けのAMDGPU OverDriveのサポート、NVIDIA Pascalの初期対応などが加わっている。

 ドキュメントシステムも変更が加わっており、フォーマット化されたドキュメンテーションサブシステムを導入した。

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