「Qt 5.7」リリース、本リリースよりLGPLv3およびGPLv3での提供へ
The Qt Companyは6月16日(フィンランド時間)、オープンソースのクロスプラットフォームUI/アプリケーションフレームワーク「Qt 5.7」のリリースを発表した。以前発表していたライセンスの変更が実行され、LGPLv3とGPLv3の下で公開される。
Qt 5.7は、3月に公開されたバージョン5.6に続く最新版。最大の特徴はライセンスで、1月に発表していたKDE Free Qt Foundationとの合意に基づくライセンスの変更が本バージョンより実施された。これまで採用されていたLGPLv2.1に変わって、ほぼすべてのフレームワークとライブラリはLGPLv3、「Qt Creator」などのツールはGPLv3で公開する。
ライセンスの変更により、これまで商用版のユーザーのみに提供されていた「Qt for Application Development」のほぼすべての構成要素がオープンソース版にも含まれるようになる。これには、Qt Charts(GPLv3)、Qt Data Visualization(GPLv3)、Qt Virtual Keyboard(GPLv3)、Qt Purchasing(LGPLv3)、Qt Quick 2D renderer(GPLv3)が含まれる。現時点ではQt Quick Compilerは例外となっており、オープンソース版と商用版を同じにするための作業がまだ残っているという。
これまで商用版のみで提供されていたモジュールが加わったほか、最新版では新たに「Qt 3D」モジュールが加わった。これまでも、OpenGLを直接利用することで3Dコンテンツの統合は可能だったが、Qt 3Dモジュールを利用することで3D UIの作成が容易になり、ハイレベルなQt C++およびQML APIを使った3Dオブジェクトとのやりとりが可能になった。3Dレンダリングに加えて、AI、フィジックスエンジン、衝突検出といったほぼリアルタイムのシミュレーション向けの拡張性も備えるという。
「Qt Quick Controls 2」を導入、タッチベースのUI構築も強化した。これはUI制御のための新しいライブラリで、性能とメモリの消費に最初からフォーカスしたという。ビジュアルUIレイアウトツールのQt Quick Designerと合わせて、開発者とデザイナーのワークフローを提供するため、時間を大幅に短縮できるという。
なお、Qtを使ったビルドではC++11準拠のコンパイラが必須となった。これにより、Qtそのものの新しい機能を利用でき、コードベースを整理できるとしている。これまでもQtでC++を使うことはできたが、Qtライブラリ内でC++11を直接利用できる。
QtはプロジェクトのWebサイトより入手できる。
Qt Company
http://www.qt.io/