Debianの生みの親、Ian Murdock氏が亡くなる
Linuxディストリビューション「Debian」を創設したIan Murdock氏が12月28日に逝去した。Murdock氏が勤務していた米DockerやDebian Projectが12月30日にその死を報告したもの。オープンソースコミュニティからは氏の功績を讃えるコメントや惜しむ声が上がっている。
Murdock氏は1973年4月にドイツ・バーデン=ヴュルテンベルク州コンスタンツに生まれた。米インディアナ州パデュー大学に在籍中に「Debian Manifesto」を作成、在学中の1993年8月にプロジェクトをスタートさせた。Debianの「ian」は氏の名前に由来している。Debianは初の正式版となる1.1を1996年にリリースしている。当時Murdock氏の起草したドキュメントはOpen Source Definitionとしてオープンソース全体の基本的な考え方につながった。
Murdock氏はその後、Linux Foundationの前身となるFree Standards Groupに参加、2007年に立ち上がったLinux Foundationでは最高技術責任者(CTO)を務めた。Linux Foundationを去った後、最高OS責任者として入社したSun Microsystemsでは「Solaris」のオープン化「OpenSolaris」(Project Indiana)を率いた。OracleによるSun買収の後にSunを去り、その後Salesforce.comが後に買収するスタートアップExactTargetのプラットフォーム担当バイスプレジデントを務めた。
Dockerには2015年11月に入社したばかり。42歳での死となった。
Murdock氏は自身のTwitterで「今夜自殺をする」と記し、居住地であるサンフランシスコの市警とのいざこざをツイートに残している。
Debianは2015年4月にDebian 8.0(jessie)をリリースしており、現在次期版となるDebian 9.0(stretch)の開発作業が進められている。Debian Projectは12月30日付で追悼のブログを掲載し、「Ianは、倫理的にも技術的にも正しいことをするというコミュニティーカルチャーとディストリビューションの作成にフォーカスしていた。リリースは準備が整ったら公開し、プロジェクトのソフトウェアの自由についての固いスタンスはフリー/オープンソース界の黄金の基準となった」とMurdock氏の功績をたたえた。