ARMエミュレーションを強化した「QEMU 2.0」がリリース

 QEMU開発チームは4月17日、オープンソース仮想化ソフトウェア「QEMU 2.0.0」を公開した。ARMおよびx86のエミュレーションを強化するなど、多数の機能強化が加わっている。

 QEMUはさまざまなCPUやコンピュータハードウェアをエミュレートできる仮想化ソフトウェア。x86環境で非x86向けのコードを実行するなど、実行させるハードウェアとは異なるアーキテクチャ向けのコードを実行させたり、またあるOS上で同じアーキテクチャ向けの別のOS環境を実行させる、といったことも可能。この場合コードは変換することなく直接実行されるため、ネイティブに近い性能を得られるのが特徴。ライセンスはGPLv2。

 QEMU 2.0は2013年11月に公開されたバージョン1.7に続くもので、メジャーアップデートとなる。179人の開発者から2500以上のコミットがあったと報告している。

 ARM向けの新機能としては、64ビット環境(AArch64)システム上のKVMの初期サポートがある。AArch64ではdisassemblingのサポートも加わっている(ホスト側にC++コンパイラが必要)。Tiny Code Generator(TCG)での32ビットモードARMv8インストラクションもサポートし、Canon PowerShot A1100 DIGICボード(canon-a1100)、Allwinner-a10ベースのボード(cubieboard)などにも対応した。

 x86向けでは、Q35チップセット搭載マシンでのCPUホットプラグサポートなどが追加された。また、メモリレイアウトを微調整し、PIIX4マシンとQ35マシンでのメモリ量を変更することで性能を改善したという。Intel MPXレジスターのマイグレーションサポート、ACPIテーブルでのApple SMCデバイスの表示サポートなども追加された。

 デバイスエミュレーションでは、SCSIやUSB関連などを強化し、iSCSIとGlusterのバックエンドでライブスナップショットマージに対応した。ライブおよびオフラインスナップショットマージでは、必要に応じておのサイズをリサイズする機能も加わっている。このほか、GUI、VNC、モニタリング、ネットワークなども強化されている。

QEMU
http://www.qemu.org/