さまざまなログをまとめて集中管理できるログ記録/管理ツール「fluentd」 3ページ

複数のマシンのログを集積する

 fluentdでは、取得したログを別のマシンで稼動しているfluentdに送信することが簡単に行える。これを利用して、複数のサーバーのログを1つのサーバーにまとめることが可能だ。

 ログを別のマシンに送信するには、「out_forward」プラグインを使用する。たとえば、先に例示した設定で取得したapacheのアクセスログを、192.168.100.1というIPアドレスを持つマシン上の24224ポートで待ち受けしているfluentdに送信するには、以下のような設定を追加すれば良い。

<match apache.access>  ←対象とするタグを指定
  type forward  ←out_forwardプラグインを指定
  <server>  ←送信先サーバーを指定
    host 192.168.100.1  ←送信先マシンのIPアドレスを指定
    port 24224  ←送信先fluentdが待ち受けているポートを指定
  </server>
</match>

 また、ログを受け取る側のマシンで稼動しているfluentdでは、次のように「in_forward」プラグインを利用するよう設定しておく必要がある。

<source>
  type forward  ←in_forwardプラグインを指定
  port 24224  ←待ち受けに使用するポートを指定
</source>

ログをMongoDBに記録する

 さて、先の例ではログをテキストファイルに記録していたが、この場合ログの解析時に再度ログをパースして読み込むといった作業が発生してしまう。fluendではログをデータベースに格納するためのプラグインが用意されており、これを利用することでログの取得時に自動的に項目をパースしたうえでデータベースにその情報を格納できる。続いてはその1つである、MongoDBにログを格納する「out_mongo」プラグインを使う例を紹介する。といっても実際の設定方法は簡単で、以下のような設定項目をfluendの設定ファイルに追加するだけだ。

<match apache.access>  ←対象とするタグを指定
  type mongo  ←out_mongoプラグインを指定
  host localhost  ←MongoDBが稼動しているホストを指定
  port 27017  ←MongoDBが待ち受けしているポートを指定
  database fluentd  ←データを格納するデータベースを指定
  collection apache_access  ←データを格納するコレクションを指定
  capped  ←パフォーマンス向上のためMongoDBのCapped Collection機能を利用する
  capped_size 1024m  ←Collectionの上限サイズを1Gに設定
  # flush
  flush_interval 10s  ←10秒おきにログをMongoDBにflushする
</match>

 なお、ファイルへのログ保存とMongoDBへのログ保存を同時に行いたい場合は、次のように「out_copy」プラグインを利用する必要がある。

<match apache.access>
  type copy  ←out_copyプラグインを指定

  <store>  ←1つめの出力先プラグインを指定
    type file
    path /var/log/td-agent/httpd/access.log
    time_slice_format %Y%m%d
    time_slice_wait 10m
    compress gzip
  </store>

  <store>  ←2つめの出力先プラグインを指定
    type mongo
    host localhost
    port 27017
    database fluentd
    collection apache_access
    capped
    capped_size 1024m
    flush_interval 10s
  </store>

</match>

 これだけの設定で、自動的に指定されたタグがMongoDBに格納されるようになる。なお、fluentdのドキュメントではMongoDBのCapped Collection機能を利用するよう推奨されているため、今回の設定例でもそのように設定を行っている。この場合、コレクション(SQLデータベースでのテーブルに相当)のサイズが指定されたサイズを超えると、古いデータから自動的に上書きされてしまうので注意が必要だ。古いデータを保持したい場合は、適切に別のデータベースにコピーするといった作業が必要になるだろう。また、MongoDBのデフォルト設定ではユーザー認証が無効になっているが、ユーザー認証を利用するよう設定している場合は「user」や「password」設定項目で指定することで対応できる。

 MongoDBについて詳しくは省略するが、MongoDBではデータをJSON形式で格納でき、その要素をキーにクエリを実行することが可能だ。たとえば、「/」というパスへのアクセスについてのログの件数を確認するには、MongoDBのシェル(mongoコマンド)内で以下のようにcountメソッドを実行すれば良い。

> db.apache_access.count({path: "/"});
103

 この例の場合、103件のログがそれに該当している。また、findメソッドを利用すれば指定した条件に該当するログを抽出できる。

> db.apache_access.find({path: "/"}).limit(3);
{ "_id" : ObjectId("529892a55f580e7e3b00008f"), "host" : "***.**.***.**", "user" : null, "method" : "GET", "path" : "/", "code" : 301, "size" : null, "referer" : null, "agent" : "Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0)", "time" : ISODate("2013-11-29T13:11:58Z") }
{ "_id" : ObjectId("5299902e5f580e7e3b000477"), "host" : "***.***.**.**", "user" : null, "method" : "GET", "path" : "/", "code" : 301, "size" : null, "referer" : null, "agent" : "Mozilla/5.0 (compatible; spbot/4.0.3; +http://www.seoprofiler.com/bot )", "time" : ISODate("2013-11-30T07:13:44Z") }
{ "_id" : ObjectId("529b39fd5f580e7e3b000be3"), "host" : "**.***.**.***", "user" : null, "method" : "GET", "path" : "/", "code" : 301, "size" : null, "referer" : null, "agent" : "Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)", "time" : ISODate("2013-12-01T13:29:37Z") }

fluentdと従来のログ収集システムを並列で利用するのがおすすめ

 今回はfluentdの概要と、基本的な設定方法のみを解説したが、fluentdには多くのプラグインが用意されており、これ以外にも多くの利用方法が考えられる。公開されているプラグインやドキュメントなどを参考に、利用しているアプリケーションや必要なログに合わせて活用法を考えると良いだろう。

 fluentdはsyslogなどの従来のログ収集管理ソフトウェアを完全に置き換えるものではなく、それらと組み合わせて利用することが可能だ。たとえば近年のLinuxディストリビューションでは、syslogdなどがあらかじめ適切な設定でインストールされている。いっぽう、fluentdは設定の自由度が高いこともあり、設定ミスなどでログを記録し損ねる場合なども考えられる。そのため、従来のログ記録機構は有効にしたで、そのうえでfluentdを使って別途加工・再利用・分析しやすい形でログを収集するシステムを構築することをおすすめしたい。