「Blender 2.72」リリース、パイメニューの導入やCycles GPUレンダリングの強化などが行われる
The Blender Foundationは10月4日、オープンソースで開発されているクロスプラットフォームの3Dグラフィック制作ソフトウェア「Blender 2.72」をリリースした。ユーザーインターフェイスに「Pie Menus」がオプションとして導入され、Cycles GPUレンダリングも強化されている。
Blenderは3Dコンピューターグラフィックを作成できる統合環境。非営利のBlender Foundationの下でオープンソースプロジェクトとして開発が進められている。ライセンスはGPL。SVGや3DS、DAE、FBX、DXFといったさまざまな3Dモデルフォーマットをサポートし、モデリング、レンダリング、マテリアル、アニメーションツールセット、シミュレーション、メッシュ展開、それに動画編集やゲーム作成などの機能を備える。PythonベースのBlender APIを利用したアプリケーションのカスタマイズやツール作成も可能。
Blender 2.72は、6月末に公開されたバージョン2.71に続く最新版となる。ユーザーインターフェイスでは、新たにパイメニュー(Pie Menus)を導入した。マウスの周囲にパイのように丸く広がった形でメニュー項目を表示する機能となる。また、ツールチップも再設計した。このほか、Blender Internal(BI)レンダープレビューはCycleのプレビューのように挙動するようになった。
Cyclesレンダリングも強化し、GPU上でベーシックなボリュームレンダリングを使用できるようになった。サブサーフェス・スキャッタリング、相関性マルチジッターも使用できるという。これに加えて、開口率設定でAnamorphic Bokehのシミュレーションが可能となり、クイックスモークノード設定が加わった。ボリュームレンダリングとシャーディングを強化したほか、性能も改善されている。
モデリングでは、面をワイヤー辺で分離するFace Split by Edges機能や、Dissolve Vertexで面の統合に代わって境界を裂くTear Boundaryオプションが加わった。Bevelにも新しいツールが加わっている。コンポジターでは、光の効果をシュミレーションするSun Beamノードが加わった。
ゲーム開発では、プロパティセンサーに新たな評価タイプが加わるなどの強化が加わった。このほか、アニメーション、スカルプティングなどでも機能強化や新機能の追加が行われ、新しいアドオンも3種加わった。
FreestyleラインレンダリングエンジンがCyclesに統合された。ほとんどのオプションがBIレンダラーと同じように使用でき、マテリアルIDデータブロックでBIとCycles向けにFreestyle用カラープロパティ「Freestyle line」が加わった。
このほかバグも多数修正されている。BlenderはGNU/Linux、Mac OS X、Windowsに対応、プロジェクトのWebサイトよりダウンロードできる。
The Blender Foundation
http://www.blender.org/