Linux向けの新たな仮想化技術「Jailhouse 0.1」リリース
8月29日、Linux向けのハイパーバイザ型仮想化ソフトウェア「Jailhouse 0.1」がリリースされた。x86 CPUサポートに必要な機能を備えたことを記念してのリリースとなり、重要なマイルストーンになるという。
JailhouseはLinuxをベースとしたハイパーバイザー型の仮想化ソフトウェアで、Linuxと並行して仮想マシン上で動作するアプリケーションやOSを実行できる。機能よりもシンプルさにフォーカスしているのが特徴で、「セル」という単位でリソースの割り当てが可能。CPUやメモリ、ハードウェアデバイスに対し過度の干渉も行わず、ソフトウェア領域でのリソース仮想化のみを行うという。独Siemensが開発しており、2013年11月にプロジェクトのコードを公開した。ライセンスはGPLv2。
一般的なLinuxシステムでの利用が可能で、管理インターフェイスもLinux上で利用できる。Linuxを起動し、その後Jailhouseを有効にした後に、システムのリソースを分割して割り当てるという手順をとる。
今回リリースした0.1は、IntelのVT-d DMAを活用するための機能を備えた。割り当てたPCIデバイスをハイパーバイザーやほかのセルから分離するルーティング機能のInterrupt Remapping(IR)などをサポートした。このほか、システム設定ファイルのジェネレーターの拡張、基本的なセルアプリケーションを作成できるフレームワークも用意した。使い勝手も改善したという。
Jailhouse 0.1はプロジェクトのWebサイトよりダウンロードできる。QEMU/KVMによる仮想環境上で容易に試用できるが、実際のハードウェアで利用するにはいくつかの作業が必要になる場合があると開発チームは警告している。
0.1のリリースの後、開発チームは1.0に向けてAMD64、ARM 32ビットなどのアーキテクチャ対応に向けた作業、セル間の通信メカニズムの確立を進めていくとしている。
Jailhouse
https://github.com/siemens/jailhouse