科学計算処理向け動的言語「Julia 0.3」リリース
科学技術計算分野向けの高水準プログラミング言語「Julia」開発チームは8月20日、「Julia 0.3」をリリースした。性能を改善したほか、ライブラリにもさまざまな強化が行われている。
Juliaは高水準、高性能を特徴とする動的プログラミング言語で、コア部分はMIT Licenseで公開されている。科学技術計算分野に特化しており、MATLABなどに似た文法が特徴。LLVMベースのJITコンパイラを持ち、分散並行処理や十分な数値解析精度、さまざまな数学関数ライブラリなどの特徴を持つ。また、さまざまな外部パッケージも提供されているほか、ブラウザベースのGUIフロントエンドも提供されている。
今回リリースされたJulia 0.3は、2013年11月に公開されたバージョン0.2に続く最新版。タプルのやりとりの高速化など、バージョン0.2と比較して性能を改善した。システムイメージのキャッシュ化により高速な起動を実現するほか、マルチプロセス共有メモリもサポートした。マルチスレッドのサポートは現在作業中とのことだ。
言語関連ではこのほか、マルチラインコメント、シンタックスエラーのレポートの改善、Unicode演算子の拡充など細かな機能が加わっている。
REPL(対話的実行環境)では新たにネイティブ実装のものが用意された。これによりGNU Readlineに起因する問題を回避できるという。また、再起動なしに環境をリセットできるworkspace関数も導入された。そののほか、REPL、IJuliaなどの環境でLaTeX数学記号のタブ置換をサポートした。
ライブラリ側ではmod2pi、minmax、extremaなどの関数が新たに加わり、@whichのように機能するマクロとして@edit、@less、@code_typed、@code_lowered、@code_llvm、@code_nativeなどが加わった。また、パッケージはデフォルトで.julia/v0.3にインストールされるように変更された。これにより複数のバージョンを共存できるという。このほか、線形代数関連処理なども強化されている。
JuliaはプロジェクトのWebサイトより入手できる。
Julia
http://julialang.org/