Xen Project、アプリケーションを直接ハイパーバイザ上で実行できる「Mirage OS 2.0」をリリース

 The Xen Projectは7月22日、 仮想環境上で動かすことを目的とした「クラウドOS」の最新版「Mirage OS 2.0」を公開した。ARMデバイスのサポート、分散コンピューティング、ネットワーク、ストレージへの対応が特徴となる。

 MirageOSはXen Projectの下で開発されているアプリケーション実行環境。一般的なOSとはやや異なり、OS上でアプリケーションを実行させるのではなく、アプリケーションをXenハイパーバイザ上で直接実行させるための環境となる。これを利用することで、開発したアプリケーションをARMベースの組み込み端末からAmazon Web Services(AWS)の「Amazon EC2」などのパブリッククラウドサービスまで、さまざまな環境上で動作させられるという。

 Mirage OS向けのアプリケーションはオブジェクト指向の関数型言語「OCaml」で開発し、これをスタンドアロンで動作するマイクロカーネルに変換、これらマイクロカーネルを直接XenハイパーバイザーAPI上で動かすというアプローチをとる。XenはAmazon Web Services(AWS)など多くのパブリッククラウドで利用されており、このようなサービス上に直接デプロイが可能という。拡張性や安全性にもフォーカスしており、ミッションクリティカルなシステム向けに最適としている。また、TCP/IPやDNS、SSH、OpenFlow、HTTP、XMPPといった一般的なプロトコルのサポートも提供されている。ライセンスはISC Licenseで、一部はLGPLv2となっている。

 Mirage OS 1.0は、2013年12月に公開したバージョン1.0に続くメジャーリリースとなる。本バージョンでは新たにGitのようなストレージシステム「Irmin」が実装された。オンディスクとインメモリの両方で分散されたデータの一貫性と同期のためのライブラリで、効率のよいマージオペレーション、アプリケーション固有の衝突回避などの機能を持ち、分散型ワークフローを実現するという。

 また、セキュリティ向上のためTLS(Transport Layer Security)プロトコルのOCaml実装「ocaml-tls」が統合された。ARMデバイスのサポートも加わり、ゲスト仮想マシンとしての実装が可能になった。これにより家庭用ルーダーのような省電力、低コストのシングルボードARMコンピュータ上でMirage OSを動かせるという。同一のXenホスト内の仮想マシン間など、共有メモリを利用して安全かつ効率よくやりとりできる仮想マシン間通信プロトコル「Vchan」も実装された。また、既存のCコードとMirage OSコンポーネント間の相互運用を強化するライブラリCtypesも統合した。

 Mirage OS 2.0はプロジェクトのWebサイトよりダウンロードできる。

Mirage OS
http://www.xenproject.org/developers/teams/mirage-os.html