「Xen 4.4」リリース、正式にARMアーキテクチャをサポート
仮想化ソフトウェアXenを開発するXen Projectは3月10日、最新版となる「Xen 4.4」をリリースした。ARMを正式にサポートするなど、多数の強化が加わっている。
Xen 4.4は2013年7月に公開されたXen 4.3以来のリリースとなる。Xen Projectは先に6か月のリリースサイクル導入を発表しており、これに基づく初のリリース。8か月の開発期間中、約1200の変更が加わった。
Xen 4.3では実験的という位置付けで導入されていたARMサポートが正式に導入された。ARM 64 ABI(Application Binary Interface)を提供するもので、ARM ABIを利用するゲストは将来リリースされるXenでも動かすことができる。ARM上での64ビット仮想マシンのブートも可能となり、PSCI(Power State Coordination Interface)もサポートした。サポートするハードウェアも拡充され、Arndaleボードなどに対応したほか、ゲストデバイスツリーの自動生成、ホストDTB処理など利便性も改善した。
イベントチャネルでは拡張性を強化した。新たにFIFOベースのイベントチャネルABIを利用することで、10万以上のイベントチャネルが可能となり、これまで300~500だった仮想マシンの上限が大きく拡張されるという。大規模なシステムや「MirageOS」、「ErlangOnXen」、「OSv」、「HalVM」といったクラウドOSなどにメリットがあるとしている。
また、kexecのサポート改善も行われた。kexecは再起動することなく稼働中のXen ProjectホストにほかのOSをロードする機能で、主として、クラッシュ時にXen Projectハイパーバイザーやdom0キャッシュの情報を収集するのに利用されているとのこと。今回、dom0カーネルサポートなしにイメージをロードできるようになった。利用にはkexec-tools 2.0.5以上が必要。
このほか、libxl向けのlibvirtサポート強化、libvirtとlibxl間のインターフェイスの高速化と信頼性の改善なども行われている。将来的に、CloudStackやOpenStackのオーケストレーションレイヤーなどlibvirtを利用するツールの統合が可能になるとしている。
ゲスト向け準仮想化ハードウェア(PVH)モードの実験的サポート、デスクトップ仮想化技術SPICEサポートの改善、ゲストEFIブートの実験的サポートなどの新機能も加わっている。
Xen Projectは米Citrix Systemsで開発が進められてきたが、2013年春にLinux Foundationに移管、現在Linux Foundationでホスティングされている。ライセンスはGPLv2。
The Xen Project
http://www.xenproject.org/