「Git 2.0」リリース

 Git開発チームは5月28日、オープンソースの分散型バージョン管理システム「Git 2.0」をリリースした。git pushがデフォルトでsimpleになるなど、後方互換性に影響する変更も多数含まれている。

 GitはLinuxカーネル開発におけるソースコード管理のために開発された分散型バージョン管理システム。2005年にバージョン1.0がリリースされ、現在では多くのソフトウェア開発プロジェクトで利用されている。Linuxのほか、WindowsやMac OS Xといったプラットフォームでも利用可能。

 Git 2.0では後方互換性が失われている変更点も含まれており、その1つとして「git push」コマンドの挙動変更がある。従来のgit pushにおけるデフォルト動作は「matching」と呼ばれるもので、すべてのローカルブランチが自動的にpush先リポジトリに送信されていた。しかしGit 2.0ではデフォルト動作が「simple」と呼ばれるものになっており、カレントブランチと同じ名前のブランチがpush先リポジトリに存在し、かつカレントブランチがそのブランチと「統合」されるよう指定されている場合にのみ送信が行われるようになった。この挙動は、「git config」コマンドもしくは.gitディレクトリ内のconfigファイルなどで「push.default」変数の値を変えることで変更できる。

 そのほか、「git add」コマンドをサブディレクトリ内で「-u」および「-A」オプション付き、かつパスの指定無しで実行した場合でも、ソースツリー内のすべてのファイルを対象に処理が実行されるように変更された。これは「git commit -a」オプションの動作と一致させるための変更だという。もしカレントディレクトリ以下のファイルのみを対象とする場合、「git add -u .」や「git add -A .」のように、明示的に指定を行う必要がある。

 また、「git add <パス>」が「git add -A <パス>」と同じ挙動になるよう変更されている。「git diff-files」における「-q」オプションの廃止や、「git svn」におけるデフォルトプレフィクスの変更も行われた。そのほか、細かい機能強化やパフォーマンスの向上なども行われている。

 GitのバイナリおよびソースコードはプロジェクトのWebサイトより入手できる。ライセンスはGPLv2。

Git
http://git-scm.com/