ARMを正式サポートした「Fedora 20」がリリース、Fedoraプロジェクト10周年記念
The Fedora Projectは12月17日(米国時間)、Linuxディストリビューション「Fedora 20」(開発コード「Heisenbug」)を公開した。プロジェクト開始から10年目を迎えており、これを記念するリリースとしている。
Fedora 20は7月に公開されたFedora 19に続くメジャーアップデートリリース。当初は11月末の公開予定だったが、3週間近く遅れてのリリースとなった。
大きな変更点としては、ARMアーキテクチャのサポート向上がある。本バージョンからはARMアーキテクチャがx86およびx86_64と同レベルの「主要アーキテクチャ」として扱われるとのこと。ただし現在公式にサポートされるのはarmv7hlのみで、AArch64は対応に向けて作業中という。ARMは低消費電力などの特徴があり、モバイル端末で多く採用されているほか、サーバーでも利用事例が出ている。
仮想化関連では、仮想マシンマネージャ「virt-manager」に仮想マシンスナップショットユーザーインターフェイスが追加された。これにより、KVM仮想マシンのスナップショットの作成が容易になる。また、libvirt virsh、virt-manager、virt-installなどでARMサポートが行われ、x86ホスト上でARM仮想マシンを動かすことも可能になったとのこと。libvirtクライアントでのアクセス制御設定も強化された。
開発者向けの新機能としては、アプリケーションサーバーの「JBoss Application Server」の次期版となる「WildFly 8」が導入されている。起動プロセスの最適化やマルチコアプロセッサの活用などの特徴を持ち、JavaEE7アプリケーションを高速に動かすことができるという。このほか、「Ruby on Rails 4.0」や「Perl 5.18」、「Boost 1.54」、「GLIBC 2.18」など言語環境やフレームワークなども最新版にアップデートされている。
ビックデータ関連も強化し、Apache Hadoop 2.2に必要なパッケージをすべて含んでいるとのこと。MongoDBはバージョン2.4に更新した。
ネットワーク管理ツール「NetworkManager」も強化され、nmcliコマンドラインツールからネットワーク接続の追加、削除、編集、有効化・無効化といった操作が可能になった。ボンドとブリッジ機能も拡張され、libvirtなどの仮想化との互換性が強化されたという。なお、メールサーバー「Sendmail」はデフォルトではインストールされなくなった。多くのユーザーがMail Transfer Agent(MTA)を必要としていないと理由を説明している。syslogも標準インストールから外され、その処理の一部はststemd journalによって置き換えられているとのこと。
標準で提供されるデスクトップ環境は「GNOME 3.10」および「KDE 4.10」。また、GNOME 3からフォークしたデスクトップ環境「Cinnamon」はバージョン2にアップデートされている。このほか、リモートデスクトップの「X2Go」も加わった。
なお、Fedora Projectが最初に公開した「Fedora Core 1」(2003年11月6日公開)から10周年を迎えたとのことで、このバージョンはそれを記念するとともに、7月に逝去した貢献者Seth Vidal氏にこのリリースを捧げるとしている。
Fedora 20は公式サイトやミラーサイトなどからインストール用ISOイメージなどが入手できる。Fedora Cloud SIG作業グループの取り組みにより、Amazon Web ServicesやOpenStackなどのInfrastracture as a Service(IaaS)型クラウドのゲストとして利用できる動作確認済みイメージファイルも提供される。
The Fedora Project
http://www.fedoraproject.org/