Fedora 19リリース、MariaDBやPHP 5.5、Ruby 2.0、Node.jsの採用など変更点多数

 The Fedora Projectは7月2日、「Fedora 19」(開発コード「Schrödinger’s Cat」)をリリースした。デフォルトのデータベースがMySQLからMariaDBに変更されたほか、開発関連ではNode.jsやRuby 2.0、PHP 5.5がデフォルトで利用できるようになるなど、多数の機能が加わっている。

 Fedora 19は2013年1月にリリースされたFedora 18に続く最新版。Fedora 18は予定から3週間遅れでのリリースとなったが、Fedora 19も1週間遅れでのリリースとなっている。Linuxカーネルはバージョン3.9を採用、デスクトップ環境にはFedora 18でサポートされたCinnamonおよびGNOME 3.8、KDE Plasma Workspaces 4.10、GNOME 2系のインターフェイスを持つMATE Desktop 1.6などを利用できる。また、LibreOfficeはバージョン4系にアップデートされている。

 システム関連での大きな変更点として、ハードウェアに合わせて専用のinitramfsを作成してブート時に利用する仕組みが取り入れられた。これによってブートが高速化されるいっぽうで、マシンやハードウェア構成を大きく変更した場合、initramfsのリビルドが必要になるという。設定を変更することで、ハードウェア非依存のinitramfsを利用することも可能。また、ブートローダとしてデフォルトのGRUB 2に加え、syslinuxベースの「Extlinux」もサポートされた。GRUB 2のような汎用性や機能はないが、軽量なクラウドイメージや仮想マシン向けに利用できるとしている。ただし、LVMをサポートしないほかbtrfsも限定的なサポートしかないなど、制限が多いため一般的な利用においては推奨しないという。

 サービス管理ツールであるsystemdも強化されており、リソースコントロールパラメーターをランタイムで動的に管理できるResource Controlが加わっている。サービスのcgroupsベースのリソース制御がリブートなしに可能となるという。各種サーバー設定ツール、監視ツールなどの機能も強化された。管理ツールとしてPuppet 3系も利用できる。

 開発関連ではRuby 2.0系がサポートされたほか、JRuby 1.7、Erlang R16B、Boost 1.53、PHP 5.5.0など、各種言語環境やライブラリのアップデートが行われた。Node.jsも標準パッケージとして提供される。そのほか、Pythonで広く使われているPython Imaging LibraryはそのフォークであるPillowに置き換えられた。

 また、GCCは4.8系に、GLIBCは2.17にアップデートされた。GHC 7.4.2(Haskell プラットフォーム 2012.4)、Django 1.5、Java 8のテクニカルプレビュー版、MIT Media Labが開発するグラフィカルプログラミング環境「Scratch」なども提供される。

 データベース関連では、MySQLに代わりMySQLと互換性のあるMariaDBが標準として採用された。従来のMySQLも「community-mysql」パッケージとして提供される。そのほか、Apache Derby 10.9.1.0やsqlite 3.7.15などが提供される。

 仮想化関連では、VMware Toolsのオープンソース実装open-vm-toolsが利用できるようになったほか、コンテナ管理ツールPacemaker」やKVM、libvertの改善などが行われている。Amazon EC2などで利用できるFedora 19のクラウド向けイメージ(圧縮rawイメージおよびqcow2形式)も新たに提供される。Red Hatが開発する仮想化インフラストラクチャ「OpenShift Origin」も利用可能になった。クラウドインフラストラクチャ「OpenStack」はバージョン2013.1「Grizzly」にアップデートされている。

 セキュリティ関連では、ハードリンクおよびシンボリックリンクの扱いを制限するSELinuxポリシーが追加されている。これにより、誰でも書き込み可能なディレクトリ内では、そのディレクトリの所有者がリンクの所有者と一致する場合を除いてほかのユーザーが作成したリンクを辿ることができなくなる。そのほか、証明書や認証関連の機能も改善されている。

 各種ソフトウェアのアップデートや、OpenSCAD、Skeinforge、SFACT、Printrun、RepetierHostなどの3Dモデリングや3Dプリント用ツールの追加なども行われている。

 Fedota 19の推奨される最低動作環境は1GHz以上のCPU、1GBのメモリ、10GBのストレージ。インストール用ISOイメージなどはFedoraプロジェクトのWebサイトやミラーサイトなどから入手できる。

The Fedora Project
http://fedoraproject.org/