「Linuxカーネル3.12」リリース

 11月3日、Linuxカーネルの最新版「Linuxカーネル3.12」がリリースされた。大型の新機能は少なく、細かい機能改善が中心のリリースとなっている。

 9月初めのバージョン3.11から、ちょうど2か月での最新版公開となる。7回のリリース候補(RC)をリリースした後の正式リリースとなったが、開発を率いるLinus Torvalds氏は、「RC8をリリースしても良かったが、インターネット接続環境が悪いところに旅行に行くために正式版をリリースすることにした」、と述べている。

 Linuxカーネル3.12での新機能としては、まずBrtfsにおけるデータ重複除去機能の実装がある。ファイルシステム内の重複するデータを除去する機能で、まずは管理者がコマンドを実行することで処理を実行する「オフライン」での実装となる。処理実行時にファイルシステムをアンマウントする必要はない。ファイルシステムへの書き込み時に自動的に処理が実行される「オンライン」での実装は今後のリリースで追加される予定とのこと。

 また、Linuxカーネル3.10で追加された「Tickless multitasking」(「Timer free multitasking」とも呼ばれる)の改良も行われている。これはタイマーを使わずにマルチタスクを実現する機能だが、今までの実装ではまだ一部タイマーが使われており、アイドル時でもタイマーを追跡しているCPUの割り込みが有効になっていた。本バージョンではこれが改善され、すべてのCPUがタイマー追跡を行わなくなるという。このほか新しいロッキングスキームlockrefも加わっている。

 GPU関連でも、AMD Radeonグラフィックドライバでの動的な電源管理の改善や、NVIDIA OptimusのランタイムGPU電源管理機能サポートによってセカンダリGPUの動的な電源のオン/オフが可能となるなど改良が加えられている。

 Linuxカーネル3.12のソースコードはkernel.orgやそのミラーサイトからダウンロードできる。ライセンスはGPLv2。

 なお、Torvalds氏の旅行の関係で、次期版となるバージョン3.13のマージウインドウが開くのは1週間後となる。その間もプルリクエストを送ることはできると記している。

 また、Torvalds氏はバージョン3.12リリースを告げるメールで、数字としてはメジャーバージョンアップとなる4.0についても触れた。3系が現在10台前半であり、20に入る前に4.0に移行してはどうかというものだ。4.0については、新機能を含まないバグ修正のみの安定版リリースとするのも悪くないとの考えも記している。これは、先に英エジンバラで開催された「LinuxCon Europe」で、IntelのDirk Hohndel氏の提案を受けてのもの。3.19の後にリリースされるとすれば、約1年後に4.0が登場することになり、4.0について話し合う「タイミングとしては好ましい」とTorvalds氏は書いている。

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