Linuxカーネル開発でのSamsungやGoogleの貢献増、Linuxカーネル開発の実態を報告する年次レポートを公開

 Linuxを推進する非営利団体The Linux Foundationは9月16日(米国時間)、Linuxカーネル開発に関わる開発者数や貢献企業などをまとめた年次報告書を発表した。Linuxカーネル開発への貢献は増えているが、中でもLinaro、韓国Samsung、米Googleなどモバイル関連の貢献が増えたという。

 このレポート「Linux Kernel Development: How Fast it is Going, Who is Doing It, What They are Doing, and Who is Sponsoring It(2013 Edition)」は、Linuxカーネル開発のプロセス、誰が開発しているのか、参加企業などをテーマにした年次報告書。今年で5回目となる。

 Linuxカーネルは現在、2〜3か月おきに最新版をリリースしている。最新のレポートは、7月に公開されたLinuxカーネル3.10を中心に、前回のレポートが公開された2012年4月以来リリースされた3.3から3.10にフォーカスして調査・作成した。

 2005年以降にLinuxカーネル開発に関わった開発者は1000社以上、約1万人に達したとのこと。また、前回のレポートから新たに250社1100人が増えているという。また、3.10単独では243社1392人が開発に参加、これは過去最大の貢献だったと報告している。貢献が増えているのはモバイル分野で、ARM用Linuxの非営利団体Linaro、Samsung、米Texas Instrumentsの3社合計の貢献は全体の11%を占めるという。2012年は4.4%だったため、1年5か月で7ポイント近く増えたことになる。また、3.3でAndroid関連のコードがマージされたこともあり、Googleによる貢献も増えているという。

 貢献が多い企業は上から、米Red Hat、米Intel、TI、Linero、独SUSE、米IBM、Samsung、Googleが名を連ねた。昨年上位に入った米Microsoftは、今年のレポートでは上位30社から漏れている。

 技術面では、ユーザー名前空間、ARM向けの仮想化(KVMとXen)などの新機能が多数マージされたことなどに加え、開発段階でのバグ発見に使う自動化ツールの利用が増えたことにより、開発サイクルが短縮化されて品質の高いリリースが実現しているとも記されている。

The Linux Foundation
http://www.linuxfoundation.org/

「Linux Kernel Development: How Fast it is Going, Who is Doing It, What They are Doing, and Who is Sponsoring It(2013 Edition)」
http://www.linuxfoundation.org/publications/linux-foundation/who-writes-linux-2013