メーリングリストでの発言は怒鳴らず、丁寧にすべきか? Linus Torvalds氏は議論を一蹴

 Linuxカーネル開発メーリングリスト(LKML)上で、開発とは直接関係のない議論が起こった。Linuxカーネルを開発し現在もメンテナを務めるLinus Torvalds氏に対し、ある開発者がメーリングリスト上での態度を改めるよう要求したのだ。しかし、Torvalds氏は「メールではもっと正直でもっとオープンにすべき」とし、改善する必要はないとこれを一蹴した。

 Torvalds氏はメーリングリスト上で怒りをぶちまけるような発言をたびたび行っており、先にリリースされた「Linux 3.10」の開発過程でも、「お前ら、お前らの母親、お前らの死んだハムスターを侮辱する方法を思いついてやる」などと書いたことが話題となった。

 今回の直接の発端は、Torvalds氏が7月12日に書いたメールだ。ここでTorvalds氏はUSBやドライバーコアのサブシステムメンテナーのGreg Kroah-Hartman氏に対し、氏のところにパッチが多く寄せられるのは「開発者にとってドアマットのように扱いやすい存在になっているから」として「怒鳴ることを学んだ方が良いのでは」と述べた。これに対し、Intelのオープンソース開発者であるSarah Sharp氏が「怒鳴ることが改善するための方法なのか」、「Linus Torvaldsは物理的な脅迫や暴力を奨励している」「メーリングリスト上ではプロフェッショナルに振る舞おう」と反応。さらにSharp氏はKernel Summitで言葉による威嚇について話し合うことを提案し、自身のブログでも他の開発者に呼びかけた。「トップメンテナから怒鳴られて発言できなくなっている人の為に」立ち上がると抗議の姿勢を露にした。

 これに対し、Torvalds氏は数回のメールでのやりとりの中で、改める必要はないとの意見を示した。言葉遣いについては、「自分はそういう人間だから」「曖昧にしたり『いい人』であることが嫌だから」と理由を説明、「『お願いだから、そうしないで』と書いたところでみんなが聞くわけがない。『インターネットでは、曖昧なことを行っている人間に耳は貸さない』と考えている」と自身の意見を述べ、メーリングリストでは通常以上に正直でオープンな方がよいとの考えを示した。また「プロフェッショナルに振る舞う」については、その結果としてフェイクな礼儀正しさ、嘘、社内政治などにつながるとして「興味がない」とした。

 一方、Sharp氏は「あなたは力がある立場にいる。自分の開発者を罵倒するのは止めてほしい」「言葉による暴力なしにネガティブな技術的フィードバックを出せるはずだ」と返し、議論は平行線をたどった。

 メーリングリストには、礼儀正しさを気にしすぎるべきではない、Torvalds氏の発言は自分には苦にならない、などTorvalds氏の態度にそれほど不満はない人のメールが多いようだが、「新しく参加する人はおじけづいてしまうのでは」という意見も見られる。

LKML
https://lkml.org