「GNOME 3.10」リリース、Waylandの実験的サポートが行われる

 GNOME開発チームは9月25日、デスクトップ環境GNOMEの最新版「GNOME 3.10」を公開した。現在開発が進んでいる新ディスプレイサーバー「Wayland」の実験的サポートのほか、ソフトウェア関連やユーザーインターフェイスなどに多数の新機能が加わっている。

 2011年春にリリースされたGNOME 3系では5回目のメジャーアップデートとなる。GNOME 3.10での大きな特徴としては、Waylandの実験的サポートがある。GNOMEアプリケーションやGNOMEセッションのWayland上での実行を可能にするもので、Waylandのモダンなアーキテクチャにより開発者は柔軟性を得られ、安全なサンドボックス環境のアプリケーションが実現できる、と開発チームはメリットを強調するとともに、将来的にWaylandをフルサポートする予定であることを表明している。ただし3.10でのサポートはあくまで実験的であり、クラッシュの可能性があるとも警告している。

 ユーザーインターフェイス関連では新たに「ヘッダーバー」が導入された。ウインドウのタイトルバーとツールバーを統合したもので、ダイナミックなアプリケーションインターフェイスにより画面を最大限に利用できるという。システムステータスエリアのデザインの刷新やプライバシー保護やマウス操作などのメニュー改善も行われた。ロック画面のカスタマイズ機能やCanterellフォントの改善、高解像度ディスプレイのサポート、ログイン画面の改良とログインでのスマートカードサポートなども行われている。

 ソフトウェア関連では、ソフトウェア関連のタスクを一か所に集めた「Software Center」が加わった。アプリケーションの検索やインストールおよびアンインストール、アップデート管理などが可能で、将来的にユーザーコミュニティの評価やコメント機能などを追加する計画という。

 「Maps」(地図)、「Music」(音楽)、「Notes」(メモ)、「Photos」(写真)など新しいアプリケーションも導入されている。3.10では位置情報フレームワークも追加されており、GPSやインターネット接続情報を利用して位置情報を自動的に取得できるようになった。すでにMapsや時計アプリ「Clocks」で利用されている。MapsはOpenStreeMapの地図データを利用しており、検索機能や衛星写真表示機能もある。このほか、PhotoではFlickrとの統合が可能になり、Notesではファイルアップローダ「ownCloud」との連携機能が実装された。

 開発者向けとしては、GTK+ 3.10で新しいインターフェイスウィジェットが導入されている。XMLでの定義が可能となるコンポジットウィジェットテンプレート、テキストのベースライン揃えなども特徴となる。

 開発チームによると、次期「GNOME 3.12」は6か月後の2014年3月に公開予定という。

The GNOME Project
http://www.gnome.org/