パッケージ構築支援ツール「Open Build Service 2.4」リリース、Arch Linuxや64ビット版ARMサポートなどが特徴
openSUSEのOpen Build Service(OBS)プロジェクトは4月30日、パッケージ作成ツール「Open Build Service 2.4」を公開した。以前は「openSUSE Build Service」と呼ばれていたツールで、さまざなまLinuxディストリビューション向けのパッケージを作成できる。
OBSは、さまざまなLinuxディストリビューションに対応するパッケージ作成支援ツール。ソースコードからバイナリパッケージを作成する作業を自動化できるもので、コラボレーション機能もある。ライセンスはGPLv2。Linuxディストリビューション「openSUSE」で利用されているほか、TizenやVideoLANといったプロジェクトでも利用されており、利用者は3万人以上、14万以上のパッケージ、21のディストリビューションで使われているという。
OBS 2.4は、2012年5月初めに公開されたバージョン2.3からほぼ1年ぶりのリリースとなる。本バージョンからは、Arch Linuxで使われているPKGBUILDを用いたパッケージ構築が可能となった。サポートするパッケージフォーマットはRPMおよびDEB、PKGBUILDの3種類となり、主要なLinuxディストリビューションをカバーすることになる。
また、OBS内でパッケージおよびプロジェクト向けに要件を定義できるビルド制約システムの導入も行われている。定義できる要件としては、動作に必要なカーネルのバージョンなどソフトウェア関連のものと、メモリやディスク容量といったハードウェア関連のものが利用できる。
ブートローダやドライバファイルなどの個別ファイルに署名が必要となるケースも増えていることから、署名デーモンの拡張も行われている。これによりUEFI Secure Bootもサポートされるという。アプリストアがアプリケーションの配信手段として普及しつつあることを受け、アプリケーションメタデータ仕様「AppStream」もサポートされている。AppStreamはSUSE、米Red Hat、英Canonicalなどのベンダー共通のアプリケーションインストーラー、メタデータ共有を実現するためのプロジェクト。
このほか、64ビット版ARM(AArch 64アーキテクチャ)のサポート、汎用エミュレータ仮想化サポート、インターコネクト処理のための非同期モードなどが加わった。性能では、依存性のイメージの事前インストールなど高速化のための強化を行った。
OBS 2.4のリファレンスサーバーは、プロジェクトのWebサイトよりアクセスできる。これを利用して、openSUSE、SUSE Linux、Debian GNU/Linux、Red Hat Enterprise Linux、Fedora、Ubuntu、Arch Linuxなど主要なLinuxディストリビューション向けにパッケージをビルドできる。プロジェクトのWebサイトでは、各コンポーネント(クライアント、API、サーバー、Worker)も公開されている。
Open Build Service
http://openbuildservice.org/
openSUSE
http://www.opensuse.org/