PythonによるPython実装「PyPy」、バグフィックスやパフォーマンス向上が行われたバージョン1.9リリース

 PythonによるPython実装「PyPy」開発チームは6月8日、最新版となる「PyPy 1.9」(開発コード「Yard Wolf」)をリリースした。バグ修正やパフォーマンスの改善、Cライクな構造体を扱う_ffiモジュールの追加、数値演算フレームワークnumpypyの強化、WindowsやMac OS Xサポートの改良などが行われている。

 PyPyはPythonで作成されたPython処理系。C言語による標準Python実装のCPythonと互換性を持ち、そのままリプレスできる環境の構築を目指している。Just-In-Timeコンパイラ統合による高速性を特徴とし、CPythonより高速という。ライセンスはMIT License。

 PyPy 1.9では、32ビットWindows環境における多くのバグが修正されたほか、CPythonのC拡張モジュールをエミュレーションする「cpyext」も改良された。これにより、従来は利用できなかった「PyOpenSSL」といったモジュールもPyPyで利用できるという。数学関数ライブラリ拡張モジュール「numpypy」(旧名称「NumPy」)対応も強化されたほか、C風の構造体を作成・操作するための独自モジュール「_ffi」も用意された。_ffiはJITコンパイラとの親和性が高く、より効率的な動作が期待できる。ただし、_ffiモジュールのAPIは将来変更される可能性もあるので、自己責任で使用してほしいとのこと。

 プロジェクトは今後もnumpypy、Python 3対応、Software Transaction Memory対応などについて開発を進める方針で、プロジェクト単位での寄付を募っている。

 PyPy 1.9のリリースに合わせて、「JitViewer」もリリースされる。JitViewerはJITでコンパイルされたPythonコードを視角化するツール。PyPyはIntelのx86およびx86_64アーキテクチャで動作し、32ビットおよび64ビット版Linuxバイナリ、64ビット版Mac OS Xバイナリ、32ビット版Windowsバイナリが用意されている。Windows向けの64ビット版バイナリについては開発中の段階とのこと。

PyPy
http://pypy.org/

ダウンロード
http://pypy.org/download.html