Webインタフェースでマシンを監視する4つの方法 4ページ
Monitorix
Monitorixでは、3つのグラフによってシステムの情報を一目で把握できる。画面左側のグラフには情報の概要が、右側の2つの小さなグラフには関連する詳細情報が表示される。Monitorixは、システムの統計データを収集するPerlデーモンと、CGIによってデータを分析できるWebインタフェースで構成されている。
Monitorixのパッケージは、Fedora、openSUSE、Debianのどのリポジトリにも見当たらない。だが、Monitorixのダウンロードページには、アーキテクチャ非依存(noarch)のRPMファイルと、Red Hat/Fedoraベース以外のディストリビューション向けのtarballが用意されている。ここでは、バージョン1.2.1のnoarch RPMファイルを使って、64ビット版Fedora 9マシンへのインストールを行った。monitorix-1.2.1 tarballの中には、Debian系ディストリビューションの適切なパスにファイルをコピーしてくれるinstall.shファイル(それにMonitorixを削除するためのun_install.shファイル)があるので、Debianベースのシステムではこちらを使うとよい。また、RRDtool用のPerlバインディング(Fedora 9ならrrdtool-perl、Debianならlibrrds-perl、openSUSE 11ならrrdtool)もインストールしておく必要がある。
RPMファイルのインストールまたはinstall.shの実行によって、ファイルを適切な場所にインストールしたら、「service monitorix start
」で情報収集を開始できる。さらに、Webブラウザで「http://localhost/monitorix/」にアクセスすれば、グラフを選択(あるいは一括表示を指定)して表示することもできる。
プラグインには対応していないが、MonitorixにはCPU、プロセス、メモリ、コンテキストスイッチ、温度、ファンの回転速度、ディスク入出力、ネットワークトラフィック、POP3やHTTPのようなサービスの要求件数、割り込み動作、SSHおよびSamba接続のユーザ数を監視する機能がもともと組み込まれている。以下に、日中のグラフデータを表示したMonitorixのスクリーンショットを示す。グラフパネルは10枚分あるが、画面には1.5枚分しか写っていない。
Monitorixの設定は、「/etc/monitorix.conf」ファイルの編集によって行う。このファイルの中身はPerlスクリプトになっている。「MNT_LIST」オプションでは、監視するファイルシステムを7つまで指定できる。「REFRESH_RATE」には、グラフを表示する際のWebブラウザの自動更新間隔を秒単位で指定する。また、Monitorixを使って複数のマシンを監視するには「MULTIHOST="Y"
」として対象のサーバを「SERV_LIST」に記述すればよい(以下の例を参照)。あるいは、「PC_LIST」および「PC_IP」オプションを使ってすべての監視対象を列挙することもできる。こちらの方法の例は、サンプルの「monitorix.conf」ファイル内に記されている。
MULTIHOST="Y" our @SERV_LIST=("server number one", "http://192.168.1.10", "server number two", "http://192.168.1.11");
それぞれのグラフパネルは、左側のメイングラフと右側にある2つの小さなグラフで構成され、少ないスペースで多くの関連情報を表示できる。スクリーンショット内のグラフパネルには、左側のグラフに負荷が、右側の小さなグラフにアクティブなプロセス数とメモリの使用量が表示されている。画面を下にスクロールすると、ネットワークサービスの要求数を示すグラフパネルが現れる。このパネルでは、メイングラフに多数のサービスが表示され、右側の小さなグラフのほうはPOP3とWWWが対象になっている。残念ながら、POP3のグラフ表示は、monitorix.cgiの2,566行目でSERVU2が明示的にPOP3を用いていることからハードコーディングされているようだ。そのため、POP3の代わりにIMAPメールサービスを監視したくても、グラフの表示対象は変更できない。
Monitorixは、インストールと実行が簡単なだけでなく、1つの領域に3つのグラフを並べたことでシステム全体の状況を容易に把握できるようになっている。ただ、一部の設定がCGIスクリプトにハードコーディングされているため、このスクリプトをハックしない限り、Webインタフェースを自由に変更できないのは残念だ。また、ディストリビューションのリポジトリにパッケージがないことで、ユーザを取りこぼしている可能性もある。
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